証券口座を開設する際の注意点とおすすめのネット証券会社
投資は将来の資産形成や経済的な安定を目指す上で重要な手段です。そのためには、信頼できる証券会社を選ぶことが不可欠です。
証券会社は、株式や債券などの金融商品の売買や、投資に関するサービスを提供する機関です。近年、インターネットの普及により、ネット証券と呼ばれるオンライン証券会社が増え、取引の手軽さや低コスト化が進んでいます。一方で、従来型の対面証券も相変わらず存在し、直接相談やアドバイスを受けることができる特長があります。
本記事では、証券会社の種類や特徴、主要なネット証券であるSBI証券と楽天証券の比較などを通じて、投資を始める際の基礎知識や選び方について解説します。
証券会社について
証券会社の業務とは
証券会社は、株式や債券などの有価証券の売買を取り扱い、企業が資金調達を行う際に投資家との間で仲介をする役割を果たします。そのため、証券会社は以下の4つの主要な業務を行います。
- ブローカー業務: 投資家からの売買注文を証券取引所に伝え、取引を成立させる業務です。個人投資家が証券会社を通じて株や債券を売買するのがこれに該当します。
- ディーリング業務: 証券会社が自己売買を行い、資金を使って株式や債券などを売買して利益を出す業務です。
- アンダーライティング業務: 企業が新たに株式や債券を発行する際に、それを引き受けて投資家に売り出す業務です。証券会社が購入し、再販売する形態です。
- セリング業務: アンダーライティング業務と似ていますが、売れ残った株式や債券を引き取らない点が異なります。証券会社が発行元から証券を預かり、投資家に対して勧誘・販売を行います。
証券会社と他の金融機関の違い
証券会社は直接金融を行い、企業や投資家を直接つなぐ役割を果たします。これに対し、銀行などはお金の預け入れや貸し付けを通じて間接的な金融サービスを提供します。
証券口座は何歳から持てるのか
2022年4月から、成年年齢が18歳に引き下げられることによって、証券口座の開設や証券投資が親の同意なしに可能になります。つまり、18歳から自らの判断で投資活動を行うことが認められました。
ただし、証券投資を行う場合には、投資のリスクを十分に理解し知識をつけていく必要があります。
証券会社には対面とネットがあります
対面証券は店舗での対面サービスが提供され、ネット証券はオンラインで取引が可能です。選ぶ際には、自身の取引スタイルやニーズに合ったものを選ぶことが重要です。
対面式の証券会社について
対面証券会社は、店頭窓口を通じて投資業務を行う証券会社です。このタイプの証券会社では、担当者と面談を通じて投資に関する情報提供や商品の提案を受けることができます。
対面証券のメリット
- 対人サポート: 担当者から投資に関する情報やアドバイスを受けられるため、自分に合った投資商品を選びやすくなります。
- 誤発注の防止: パソコンやスマートフォンなどの操作ミスによる誤発注の心配がなく、担当者と直接やり取りしながら注文を行うため、安心して取引できます。
対面証券のデメリット
- 高い手数料: 対面サポートや店舗の運営にコストがかかるため、手数料が高くなる場合があります。このため、取引コストが増加し、利益を圧迫する可能性があります。
- 取引の遅れ: 注文の執行まで時間がかかるため、市場の瞬時の変動に対応できない場合があります。特に、高速な市場で競争が激しい場合には、取引のタイミングを逃すリスクがあります。
対面証券は以下の方のおすすめします
- 操作に不安がある: パソコンやスマートフォンでの取引操作に自信がない人や、操作方法に不安を感じる人が対面証券を選ぶ傾向があります。
- 情報収集が難しい: インターネット上での情報収集や分析が難しい場合、担当者から直接情報を受け取りたいと考える人がいます。
対面証券は、特に操作に不安がある人や情報収集が難しい人にとって、安心して投資を行える環境を提供します。しかし、手数料の高さや取引の遅れといったデメリットも念頭に置いて選択する必要があります。
ネットの証券会社について
ネット証券は、インターネットを通じて口座開設や資産管理、取引注文などをオンラインで行う証券会社のことです。以下に、ネット証券の基本やそのメリット・デメリットを詳しく解説します。
ネット証券のメリット
- 手数料の安さ:ネット証券は、実店舗を持たずにオンラインで取引を行うため、運営コストが低く抑えられます。そのため、手数料が非常に安く設定されており、一般的には数十円程度の手数料で取引が可能です。また、一部の証券会社では特定の条件を満たせば手数料が無料になる場合もあります。
- 取引のスピード:ネット証券では、取引の執行までのスピードが非常に速いです。インターネットを通じてリアルタイムで株価や市況の情報を取得し、注文を画面上で直感的に行うことができます。注文の変更や取り消しも瞬時に行えるため、スムーズな取引が可能です。
ネット証券のデメリット
- 自己責任の重さ:ネット証券では、全ての取引や投資判断を自分自身で行う必要があります。担当者からのアドバイスや商品提案がないため、情報収集や判断に自己責任が求められます。誤発注によるリスクもありますが、全ての責任が投資家自身にあります。
- 情報の自己収集:ネット証券では、自分で必要な情報を収集し、分析する必要があります。投資に関する正確な情報を見極め、取引に生かすための知識やスキルが必要です。このため、情報の収集や分析に時間や労力を費やす必要があります。
ネット証券は以下の方のおすすめします
ネット証券を選ぶ人は、以下のような特徴を持つ場合があります:
- 自己責任で行いたい人: 投資に関する判断や取引を自分で行いたい人が、ネット証券を選ぶ傾向があります。
- 手数料を抑えたい人: 手数料が安く、コストを抑えて取引を行いたい人が、ネット証券を好むことがあります。
- スピーディーな取引が好きな人: リアルタイムで取引を行い、市況の変動に素早く対応したい人が、ネット証券を選ぶことがあります。
ネット証券は、自己責任を負いつつも、手軽に取引を行いたい人にとって魅力的な選択肢です。自分のペースで投資を行い、柔軟に取引を行いたい人にとって最適な環境を提供します。
証券口座の開設方法
証券口座の開設方法は、証券会社によって手続きや方法が異なりますが、一般的な流れを以下に示します。
口座の種類
- 一般口座:取引の損益や税金の計算、確定申告など全てを投資家自身で行う口座です。
- 特定口座(源泉徴収あり):証券会社が源泉徴収を行い、確定申告が不要な口座です。ただし、損益通算や特例の申請を行う場合は確定申告が必要です。
- 特定口座(源泉徴収なし):源泉徴収が行われず、確定申告が必要な口座です。損益通算や特例の申請を行うため、確定申告が必要です。
- NISA口座:少額投資非課税制度を利用するための口座で、上場株式や株式投資信託の譲渡益や分配金、配当金が非課税となります。
口座の開設方法
対面証券の場合:
- 証券会社の店舗やウェブサイトから口座開設申込書を入手します。
- 必要書類(マイナンバーの確認書類、本人確認書類、印鑑、金融機関口座)を準備し、申込書に記入します。
- 証券会社の店舗で直接提出するか、郵送などで提出します。
- 審査を経て口座開設が完了します。
ネット証券の場合:
- 証券会社のウェブサイトから口座開設申込手続きを行います。
- 必要な情報や書類をオンラインで入力・アップロードします。
- 審査が完了すると、口座開設の通知やログイン情報がメールなどで送られてきます。
- ログイン後、初期設定を行い、取引を開始します。
NISA口座の申込み
- 証券会社のウェブサイトや店舗で、NISA口座の申込み手続きを行います。
- 一般口座と同時に申し込むことも可能です。
- 必要な情報や書類を提出し、審査が完了するとNISA口座が開設されます。
口座開設の手続きは、オンライン上で完結するネット証券や、対面での手続きが必要な対面証券など、証券会社によって異なります。口座の種類や運用目的に合わせて、適切な証券会社を選び、手続きを進めるようにしましょう。
ネット証券 ランキング上位の2社の解説
SBI証券と楽天証券は、日本の証券市場において人気を誇るネット証券会社です。両社は、投資家に対して多彩な金融商品やサービスを提供し、手数料の低さや利便性の高さなどが特徴です。
どちらの証券会社も、投資家のニーズに応えるために競争力のあるサービスを展開しており、投資初心者から上級者まで幅広い層に支持されています。
SBI証券について
SBI証券の特徴とおすすめポイント
個人取引シェアNO.1のネット証券
SBI証券は個人取引シェアNO.1のネット証券であり、その人気の理由として、豊富なサービスと新しい取り組みに対する積極性が挙げられています。
幅広い投資サービスと商品ラインナップ
「NISA/積立NISA」の手厚いサポートや「ポイントサービス」「クレカ積立」など、投資に必要な多彩なサービスが提供されています。
商品ラインナップは世界10カ国に及び、日本株や米国株、中国株など幅広い投資先が利用可能です。3100銘柄以上の国内株式も取り扱っており、単元未満株(S株)の売買も可能です。
話題の投資サービスも網羅
SBI証券ではロボアドバイザー「SBIラップ」や「ポイント投資」など、話題の投資サービスも提供しています。特に「ポイント投資」はポイントを活用して手軽に投資を始められ、主婦や若年層の間で人気を集めています。
売買手数料のお得さ
SBI証券は2023年9月30日から国内株式の売買手数料を完全無料化。取引報告書などの電子交付で現物取引、信用取引、単元未満株の売買手数料が全て0円になりました。これにより、取引手数料に関する心配がなくなり、投資がより手軽になりました。
総合的な運用が可能
投資知識のある方には、SBI証券の豊富な商品ラインアップが魅力的です。1社で株、投資信託、外国株など総合的な運用が可能であり、投資家のニーズに幅広く対応しています。
豊富なポイントプログラム
ポイントプログラムも充実しており、「投信マイレージサービス」では投資信託の保有金額に応じてTポイントやPontaポイントが貯まります。これを活用して投資信託の購入に利用でき、長期投資に適しています。
口座開設数1,200万の実績
口座開設数が1,200万を突破しており、その実績からもSBI証券が多くの投資家に支持されていることがうかがえます。
夜間取引や単元未満株取引に対応
夜の23:59まで行える夜間取引(PTS取引)や、1株から取引可能な単元未満株取引に対応しています。これにより、忙しいサラリーマンや少額から始めたい投資家にも利便性が高いです。
口座連携で金利アップ
住信SBIネット銀行やSBI新生銀行との口座連携をすると、住信銀行の普通預金金利がアップする特典があります。資金管理がより楽になり、投資と資金運用を一緒に行うことができます。
SBI証券は取引コストや取扱商品、サービス、使い勝手などが高いレベルでバランスが取れており、非常に使いやすいネット証券です。口座開設後は、自分の投資スタイルや目的に合わせて適切な商品を選んで資産形成を行いましょう。
楽天証券について
楽天証券は、手数料、取扱商品、ツールなどが充実しており、特に以下のポイントが魅力とされています。
楽天ポイントが貯まる
「ポイントプログラム」により、株式取引手数料、投信保有残高、楽天カードでの投信積立の決済額に応じて楽天ポイントが貯まります。これらのポイントは投資に利用することはもちろん、普段の買い物やNISA口座にも活用できます。
iSPEEDアプリの使いやすさ
初心者にも使いやすく、かつ高機能な株アプリ「iSPEED」があります。最短3タップで注文ができ、15種類のテクニカルチャートも備えています。カスタマイズ可能なMY PAGE機能もあり、トレード環境を快適に保てます。
国内株式の取引手数料0円のゼロコース
新たな手数料コース「ゼロコース」では、国内現物・信用取引手数料が一律0円になります。これにより、手数料を気にせず気軽に株式投資ができるようになりました。
楽天グループとの連携
楽天証券は楽天グループとの連携が強みで、楽天ポイントの他に楽天カードや楽天市場などのサービスも併せて利用することで、ユーザーが得する仕組みが整っています。
楽天銀行との相性
「マネーブリッジ」を活用すると、楽天銀行の普通預金金利が優遇されます。資金が不足する場合には楽天銀行から自動入金も可能で、利便性が高いです。
口座開設数・NISA口座No.1
楽天証券は、口座開設数1000万口座を突破し、NISA口座数でもNo.1の実績があります。
取引手数料無料で取引できるサービス
ゼロコースに加え、楽天証券の単元未満株取引サービス「かぶミニ」も取引手数料無料で提供されており、手数料を気にせず投資できる環境を提供しています。
楽天証券は、これらの特徴により投資初心者からベテランまで幅広い層に支持されている証券会社の一つです。
SBI証券か楽天証券かはライフスタイルで決めよう
SBI証券と楽天証券の両社を比較し、それぞれの特徴や利点を解説します。
SBI証券がおすすめな人
- 銘柄数が豊富で、楽天証券にはない銘柄も取引できるため、多様な投資先を探したい方に向いています。
- SBI証券では、単元未満株(S株)の売買手数料が無料であり、初心者でも手数料負けの心配がないため安心して利用できます。
- ポイント面でも、5つのポイントサービスに対応しており、現在貯めているポイントを有効活用できます。
- IPO銘柄を豊富に提供しており、IPO投資に興味がある方にもメリットがあります。
楽天証券がおすすめな人
- 楽天サービスを既に利用している方や、楽天のツールの使いやすさを求める方に向いています。
- 楽天証券では、楽天ポイントを貯めることができるため、楽天ポイントを活用したい方に適しています。
- 特に、2023年10月1日からは、外国株や先物・オプションなどの取引手数料の1%がポイントバックされるプログラムがスタートしました。
- 楽天銀行との連携もあり、金利面でも魅力的です。
- 株アプリやツールが使いやすく、スマートフォンで簡単に管理できるのが利点です。
使い分けや乗り換えの視点
使い分ける場合:
両方の特徴を享受するために、楽天証券とSBI証券を使い分けることができます。たとえば、楽天証券でポイントを貯めながら運用し、楽天証券で扱ってない銘柄をSBI証券で取引するなどの方法があります。
口座は複数持つことができます。ただし、複数の口座を管理することが複雑になるため、管理や確定申告には注意が必要です。
また、NISA口座は1人1口座と決まっており、複数持つことはできません。
乗り換える場合:
しばらく両方の証券会社を試してみて、どちらかに絞ることもできます。途中で片方に乗り換えることも可能です。
以上の解説を参考にして、自分のニーズや投資スタイルに合った証券会社を選ぶ際の参考にしてください。
まとめ
証券会社とは
証券会社は、株式や債券などの金融商品の売買や投資サービスを提供する金融機関です。一般的な業務には、株式取引、債券取引、投資信託の販売、金融商品のアドバイス、資産運用サービスなどが含まれます。
ネット証券と対面証券の違い
- ネット証券は、インターネットを通じて取引を行う証券会社のことです。
- 対面証券は、店舗や営業所を通じて面談や取引を行う証券会社のことです。
ネット証券は手数料が比較的低く、取引手続きがオンライン上で完結するため手軽です。一方で、対面証券は直接相談やアドバイスを受けることができますが、手数料が高いことが特徴です。
ネット証券で人気のSBI証券、楽天証券の違い
- SBI証券は、銘柄数が豊富で、IPO銘柄の提供や単元未満株の手数料無料などの特徴があります。つまり、SBI証券は銘柄数やポイント投資にこだわる方に向いています。
- 楽天証券は楽天ポイントの貯めやすさや取引手数料無料の特典があります。つまり、楽天証券は楽天経済圏を利用する方や手数料を抑えたい方に向いています。楽天カードの申し込みはこちら
最後に
証券会社の選択は、個々の投資家のニーズや投資スタイルによって異なります。SBI証券は豊富な銘柄数やポイントサービスで、楽天証券は楽天関連サービスの利用やツールの使いやすさでそれぞれ特徴があります。
投資家は自身の目標や好みに応じて適した証券会社を選ぶことが重要です。そして、投資に関する知識を深め、リスクを理解した上で、賢い投資を行うことが大切です。