その「損切り」ちゃんと考えてる?初心者こそ焦らず冷静に
2024年、新NISAの導入や株価の大幅な下落により、投資に関する様々な声がSNS上で広がっています。投資を通じて将来の資産形成を目指す人々の間で不安や疑問が募り、一部では損切りの動きが活発化しているようです。こうした状況下で、投資の本質やリスク、長期的な視点が改めて問われる中、投資家たちは慎重な判断を迫られています。
株価の下落でNISAの損切りが増えている理由
新NISAを始めたばかりの初心者が日経平均の下落によって不安や後悔を感じ、NISAを損切りする理由にはいくつかの要因が考えられます。
急激な損失への恐れ
初心者投資家は株価の急落に対して不安を感じ、将来的にさらなる損失を招くことを恐れることがあります。この不安から、投資をやめて損失を回避しようとする動きが見られることがあります。
リスクへの理解不足
初心者投資家の中には、リスクや市場の変動についての理解が不十分な場合があります。株価が下落することが一般的なリスクであることを理解していなかったり、適切なリスク管理を行っていなかったりすることがあります。
短期的な視野
初心者投資家の中には、短期的な利益を追求する傾向がある場合があります。そのため、株価が下落すると直ちに損失を恐れ、投資から離れる選択肢を選ぶことがあります。
情報の過剰摂取
SNSやメディアからの情報に左右されやすい初心者投資家もいます。株価の変動についてのネガティブな情報を受け取ると、不安を感じて投資をやめることを考えることがあります。
未経験の経験
投資は未経験の経験であり、失敗や失敗からの学びがつきものです。初心者が初めての投資で損失を出したり、株価が下落する状況に直面すると、不安や後悔を感じることがよくあります。
これらの要因が組み合わさり、NISAを解約する選択肢を選ぶ初心者投資家が増える可能性があります。しかし、投資は長期的な視野で考えることが重要であり、一時的な株価の変動に振り回されずに冷静に判断することが大切です。また、投資はリスクを伴うものであり、失敗から学ぶことも大切な経験です。
新NISAで損切りは必要ない?
そもそも損切りとは
損切りは、投資家が保有している株式や他の投資商品が損失を抱えている状態で、その損失を確定させるために売却することを指します。一般には、「ロスカット」とか「ストップロス」と呼ばれることもあります。購入した株式の価格が下落して、その後の回復が見込めないと判断される場合、損切りは有効な手段とされます。
損切りを行うことで、保有している投資商品の損失額を確定させることができます。そのため、株価がさらに下落して損失が膨らむリスクを回避することができます。これにより、投資家は損失を最小限に抑えることができます。
一方で、利益が出ている株式や他の投資商品を売却して、その利益を確定させることを「利食い」といいます。利食いは、投資家が利益を確定するための重要な手段であり、投資リターンの最大化に貢献します。
投資の基本は「長期・積立・分散」
「長期・積立・分散投資」は、投資家にとって安定的な投資成果を得るための王道手法として広く知られています。それぞれの要素が投資成果にどのように寄与するのか、簡潔に説明してみましょう。
長期投資
投資期間が長期になるほど、投資先の資産が収益を積み上げる期間も長くなります。そのため、株価の一時的な下落に振り回されずに投資を継続することができます。通常、長期投資とは10年以上を指すことが一般的です。
積立投資
積立投資は、定期的に一定額または一定数の投資商品を購入する手法です。毎月一定額を投資することで、投資額を分散し、市場の変動に対するリスクを低減することができます。また、含み損を小さく抑えることができ、安く買えるチャンスと捉えることもできます。
分散投資
分散投資は、リスクを分散し、ポートフォリオ全体の安定性を高めるための重要な手法です。投資信託など複数の銘柄に投資することで、特定の銘柄や業種のリスクを回避することができます。さらに、異なる資産クラスへの投資(例:株式、債券、不動産など)も分散効果を高めるために重要です。
これらの要素を組み合わせることで、投資家は安定的な投資成果を得ることができます。新NISAの非課税効果を活かすためにも、短期的な値動きに左右されずに、長期・積立・分散の手法を活用しましょう。
初心者は、継続をモットーに
損切りは、基本的な長期投資の考え方とは対立する行動です。損切りは、今の損失を確定させることで、さらなる損失を防ぐことができますが、同時に将来的な株価の上昇による回復の可能性も放棄することになります。投資初心者にとっては、長期的な視野で資産を育てることが重要です。
長期投資では、時間が経過するにつれて株価の変動や損失を回復する可能性が高まります。投資初心者が損切りを行うことで、将来的な株価の上昇によるポジティブな影響を受ける機会を失う可能性があります。
投資の知識や経験が豊富な投資家にとっては、損切りが有効なリスク管理手段となります。しかし、初心者の場合は、「長期・積立・分散」をモットーに投資を続けることが重要です。知識や経験が不足している間は、積極的な損切りよりも、ほったらかしの長期保有が安定した資産形成につながる場合があります。
ほったらかしのメリット
投資初心者におすすめの「ほったらかし投資」にはいくつかの理由があります。その中でも、特に重要な理由を以下にまとめてみました。
簡単に始められる
積立投資を行うため、最初に設定した投資内容を除いて、細かなチャートのチェックや相場分析などをする必要がありません。これにより、投資初心者でも簡単に始めることができ、仕事や生活の忙しさに合わせて無理なく続けることができます。
少額からでも利回りが期待できる
複利効果を利用するため、少額からでも効率的に運用することができます。投資後に生じた利益が元本に加算され、さらなる利益が生まれるため、預貯金などの単利と比べても利益を増やすことができます。
金融リテラシーが身に付く
長期間にわたって積み重ねた投資経験は、投資に関する知識やリテラシーを身に付ける機会となります。投資を通じて疑問を持ち、調査を重ねることで、多くの知識や経験を得ることができます。これは将来の資産運用に役立つだけでなく、日常生活や仕事においてもプラスの影響を与えます。
これらの理由から、投資初心者にとってほったらかし投資は魅力的な選択肢となります。継続して投資を行うことで、資産形成だけでなく、将来の金融リテラシーの向上にもつながるでしょう。
ほったらかしの注意点
ほったらかし投資を行う際には、以下のポイントに留意することが重要です。
定期的な状況チェック
ほったらかし投資でも、定期的に資産状況をチェックしましょう。月に1回程度の頻度でポートフォリオを確認し、投資先が適切かどうかを検討しましょう。予想外の損失や将来の見通しが悪い場合は、投資先の見直しを検討しましょう。
余剰資金を使って投資する
投資には生活資金ではなく、余剰資金を使いましょう。また、一度に全額を投資するのではなく、少額から始め、経験を積んでから投資額を増やしていくのが賢明です。
契約内容や条件の理解
投資を始める前に、契約内容や条件をよく理解しましょう。投資商品の特性やリスク、手数料などを把握しておくことは、投資成功の鍵となります。
分散・長期・少額の基準に沿った投資
ほったらかし投資に適した投資商品は、「分散・長期・少額」の基準に沿ったものです。リスクを分散し、長期間にわたって積み立てることで、資産形成を効果的に進めることができます。
長期投資って具体的には?
長期投資とは、投資家が購入した金融商品を長期間保有し続けてから売却する投資方法です。しかし、その「長期」とは具体的にどれくらいの期間を指すのか、明確な基準はありません。
一般的には、10年単位での投資を指すことが多いです。運用期間や積立期間が1日から1年程度なら短期、数年から10年未満までなら中期、そして10年以上~50年程度なら長期と考えることができます。
このような期間区分は、投資目標やリスク許容度によっても変わる場合がありますが、一般的なイメージとしてはこのような区分が用いられます。
長期投資のメリット
複利効果を活かせる
長期投資では、複利効果を最大限に活かすことができます。複利とは、元本だけでなくその利息にも利息がつく仕組みを指します。この効果は「雪だるま式」とも称され、投資資産を着実に増やす力を持っています。後述します。
日々の値動きに一喜一憂せずに済む
長期投資では、数年や数十年という先を見据えた投資を行います。市場は日々変動しますが、長期的に見れば1日ごとの値動きは小さく、一喜一憂する必要がありません。この安定感は、忙しい人でも取り組みやすくなります。
売買コストを抑えやすい
長期投資では、売買の頻度が低いため、売買に伴うコストを抑えることができます。特に株式投資では、取引手数料が発生しますが、長期保有なら取引回数が少ないため、手数料の負担が軽減されます。
積立投資との相性が良い
長期投資は、積立投資との相性が良いです。積立投資では定期的に一定額を投資するため、市場の値動きに左右されずに資産を積み重ねることができます。長期投資と組み合わせることで、市場の変動に柔軟に対応できるメリットがあります。
長期投資のデメリット
利益が確定するまで時間がかかる
長期投資では、投資した資産が利益を確定するまでに時間がかかります。日々の値動きはチェックできますが、最終的な利益が出るのは数年から数十年後になる場合もあります。この待ち時間は焦りや不安を感じることがあります。
「長期投資=失敗しない」ではない
長期投資を行うからと言って、必ずしも成功するとは限りません。将来の市場状況を完全に予測することは難しく、元本割れのリスクもあります。失敗した場合、費やした時間やお金が無駄になる可能性があります。長期投資でもリスクを考慮し、慎重に投資先を選ぶ必要があります。
まとめ
損切りとは
損切りは、投資家が保有している株式や他の投資商品が損失を抱えている状態で、その損失を確定させるために売却することを指します。つまり、一定の損失が生じた場合にその損失を受け入れ、損失を最小限に抑えるために売却することです。
損切りのメリットとデメリット
メリット
- 損失を最小限に抑えることができる。
- 追加の損失を防ぐことができる。
- リスク管理ができる。
デメリット
- 将来的な株価の上昇による利益を逃す可能性がある。
- 損切りのタイミングを誤ると、後で株価が回復した場合に後悔することがある。
- 感情的な決断に基づいてしまうリスクがある。
初心者は「長期・積立・分散」を基本に
- 長期投資: 投資期間を長くとることで一時的な株価の変動に左右されずに済みます。
- 積立投資: 定期的に一定額を投資し、市場の変動に対するリスクを分散します。
- 分散投資: リスクを分散し、ポートフォリオ全体の安定性を高めます。
ほったらかしから始めよう
- 簡単に始められる: 投資初心者でも簡単に始めることができます。
- 少額からでも利回りが期待できる: 複利効果を活かして、少額からでも着実に資産を増やすことができます。
- 金融リテラシーが身に付く: 長期間の積み重ねた投資経験は、投資に関する知識やリテラシーを身に付ける機会となります。
最後に
投資において、損切りや長期投資、ほったらかし投資などの概念は初心者にとって重要なものです。損切りはリスク管理の手法であり、将来の損失を最小限に抑えるための有効な手段ですが、過度の感情に左右されず冷静な判断が求められます。一方で、長期投資やほったらかし投資は、資産を着実に成長させるための手法であり、積極的な取引や損切りよりも時間と複利の力を活かすことができます。
初心者投資家にとっては、長期的な視野で資産を育てることが重要です。リスクを最小限に抑えつつ、着実に資産を増やすためには、慎重なリスク管理と長期投資の組み合わせが有効です。また、ほったらかし投資を取り入れることで、簡単に始めることができ、投資に対する理解と経験を積み重ねることができます。
投資は個々の目標やリスク許容度に合わせて行われるべきであり、損切りや長期投資、ほったらかし投資などの手法はその一部に過ぎません。最終的には、自身の目標や状況に応じて適切な投資戦略を構築し、着実に資産を築いていくことが重要です。