株主優待のメリットと注意点!新NISAの活用法とおすすめ銘柄
株式投資を始めたばかりの初心者の方にとって、株主優待は魅力的な制度の一つです。しかし、どのように優待を受け取るのか、どんな特典がもらえるのか、初めてだとわからないことが多いかもしれません。また、優待株の選び方や、購入のタイミング、注意すべきポイントなど、悩みが尽きないものです。このような初心者の不安や疑問に答えながら、株主優待の魅力を活かして投資を楽しむ方法について解説していきます。
株主優待とは
株主優待とは、企業が自社の株を保有する株主に対して、自社の商品やサービス、または他の特典を提供する制度です。企業が自社株の購入を支援し、株主に報いるために提供されるもので、株主にとっては投資に対する特典として人気があります。
株主優待には様々な形態があります。例えば、自社製品やサービス、割引券、ギフトカード、食品(お米や飲料など)、カタログギフト、旅行券、金券、ポイントなどがあります。また、企業によっては特定の株式保有期間に応じて、より豪華な特典を提供することもあります。
株主優待の主な目的は、株主を維持し、長期的な投資家を引き付けることです。長期保有者に対しては特別な特典を追加することで、株式を長期間保有してもらうことを奨励しています。
最近では、株式の売買単位が100株に統一されるという取り組みが全国の証券取引所で進んでいます。これにより、株主優待を受けるために必要な株式の数が、例えば1000株から100株に変更されることで、株主優待を得るためのコストが減り、一般の投資家でも手が届きやすくなっています。
このような背景から、株主優待は投資家にとって魅力的な特典であり、企業にとっては株主の安定的な支持を得る手段として重要です。
株主優待の例
株主優待は、日本独自の制度で、企業が自社株を保有している株主に対して、感謝の意を示し、自社の商品やサービス、あるいは他の特典を提供する仕組みです。株主優待は、企業と株主の双方にメリットをもたらします。株主にとっては、自社株の保有に対してユニークな特典を楽しむことができ、企業にとっては、株主が自社の商品やサービスに触れる機会を提供することで、より一層の愛着や興味を持ってもらうことが期待できます。
株主優待として提供される特典の内容は、企業や業界によってさまざまです。以下は代表的な株主優待の例です。
自社の商品を提供するもの
- 食品メーカーは自社の食品や飲料を優待品として提供します。
- 外食企業は自社のレストランで使用できる食事券を提供することが多いです。
- 建設会社などは「お米券」など、自社商品以外の特典を提供する場合もあります。
自社のサービスを提供するもの
- 映画会社は映画の招待券を提供します。
- ホテルは宿泊券や宿泊割引券を提供します。
- 鉄道会社は回数券や優待乗車券を提供します。
その他のユニークな特典
- 住宅メーカーは建築工事の費用を割り引くポイントを配布することがあります。
- レコード会社は株主限定のコンサートを開催することがあります。
ただし、株主優待を受けるためには一定数の株を保有していることが条件となる場合が多く、優待が提供される時期も企業ごとに異なります。通常、特定の月末時点に株主になっていなければ、その月の優待を受けることはできません。
株主優待を受け取るまでの流れ
株主優待を受け取るまでの流れは、以下の4つのステップに分けて説明できます。それぞれのステップで行うべき手続きについて詳しく解説します。
STEP1:証券会社で口座開設
株式を購入するためには、まず証券会社で証券口座を開設する必要があります。口座開設には、マイナンバー確認書類や本人確認書類、印鑑、金融機関の口座番号などが必要です。口座開設は証券会社の店舗やインターネットを通じて申込書を請求して行います。最近では、インターネットで口座開設が完結し、最短で申込当日から利用可能な証券会社もあります。
STEP2:優待内容に魅力のある株式を選択
まず、株主優待制度がある企業を探し、その企業の優待内容を確認します。証券会社や投資情報サイトなどで優待内容の一覧を見られる場合があります。自分が欲しい優待を提供している企業を選び、最低投資金額や配当と優待を合算した利回りなどを考慮して選択しましょう。
STEP3:株式を購入
証券口座に株式を購入するための資金を入金します。入金が完了したら、ネットや電話などで希望する銘柄と購入したい株数を指定して注文を出します。重要な点として、権利確定日を把握し、その2営業日前の権利付き最終日までに株式を購入しておく必要があります。このスケジュールを守ることで、株主優待の権利を確保できます。
STEP4:株主優待を受ける
権利確定日から2〜3カ月程度で、企業から株主優待品が送られてきます。優待品の到着時期や内容は企業によって異なりますが、優待品が届くまでには一定の時間がかかります。優待品がカタログ選択方式の場合、商品を選び書類を返送するなどの手続きを行います。書類や通知は郵送されるため、郵送物を確認して対応しましょう。
以上の流れを踏まえて、株主優待を受けるまでのプロセスを理解していただけたでしょう。優待品が届くのを楽しみにしつつ、必要な手続きは期限内に行うよう心掛けてください。
株式優待に関する注意点
株主優待を目的として株式投資を行う際には、優待を受けるだけでなくリスクを最小限に抑えつつ、総合的な判断で投資を行うことが大切です。ここでは、株主優待における3つの注意点について詳しく解説します。
株主優待・株式投資のリスクを把握しておく
- 株価の変動:株主優待を受けたいと思っても、株価が大幅に下がって損失が出る場合もあります。株価の変動リスクを把握し、適切なリスク管理を行いましょう。
- 優待の変更・廃止:株主優待は企業の方針や業績によって変更や廃止される可能性があります。投資前にその企業の業績や事業環境を調査し、優待が続く可能性を予測しましょう。
- 手続きの煩雑さ:優待を受けるために、時に手続きが煩雑な場合があります。優待内容や条件をよく確認し、手続きが難しくないかを判断しましょう。
株主優待以外にも注目して株式投資する
- 企業の財務内容:優待だけに注目するのではなく、企業の売上高、利益、財務状況なども確認しましょう。財務の健全性は、株価の安定や将来の優待継続に影響を与えます。
- 配当金とバランス:配当金も重要なリターンです。優待と配当金のバランスを考慮し、投資先を選びましょう。
- 分散投資:一つの銘柄に集中投資するのではなく、複数の業界や企業に分散して投資することでリスクを軽減しましょう。
優待品受け取りの条件を確認しておく
- 優待の条件:優待を受けるための条件(保有株数や保有期間など)を確認しましょう。条件を満たさないと優待が受けられない場合があります。
- 投資金額の確認:優待を受けるための最低投資金額が高い場合、投資が難しいこともあります。自分の投資計画や資金と照らし合わせて確認しましょう。
- 長期保有の条件:長期保有を条件とする優待もあります。その場合は短期的な投資ができないため、注意が必要です。
株主優待を目的とした投資を行う際は、優待の内容だけでなく企業の財務状況やリスク、投資条件などを総合的に判断しましょう。優待投資を楽しみつつ、リスクを最小限に抑えるよう心がけましょう。
新NISAで株主優待はもらえるか
新NISAで株主優待をもらう際の2つの注意点について、分かりやすく解説します。
株主優待株を買えるのは「成長投資枠」だけ
新NISAには「成長投資枠」と「つみたて投資枠」があり、株式を購入できるのは成長投資枠だけです。そのため、株主優待株を買う際は成長投資枠を利用することになります。
一方で、つみたて投資枠では長期的な積立投資に適した投資信託の購入が可能です。毎月の投信積立を行いたい場合は、つみたて投資枠を活用しましょう。
株主優待を楽しみたい方は、成長投資枠で株主優待株を購入し、つみたて投資枠で投信積立を行うなど、両枠をうまく組み合わせて活用するのがおすすめです。
株主優待株を購入できるのは年間240万円まで
成長投資枠では、年間240万円まで株式を購入できます。この金額は1年の上限です。
新NISAで購入した株式を売却しても、売却した分の投資枠は再利用できません。そのため、売買を繰り返すとすぐに年間投資枠を使い切ってしまう可能性があります。
株式投資を行う際は、慎重に検討しながら計画的に投資を行うようにしましょう。
おすすめ 銘柄 6選
日本で株主優待制度がある企業の中で、特におすすめの6つの銘柄について紹介します。それぞれの特徴や魅力的な優待内容について、分かりやすく解説します。
イオン(8267)
イオンは全国展開する総合スーパーです。株主優待として「イオンオーナーズカード」をもらえ、保有株数に応じた買物総額の3~7%を半年ごとに返金してもらえる特典があります。
イオン系列の店舗をよく利用する人にとって、このカードは大きな魅力です。家族分も含めて2枚のカードがもらえます。
キリンホールディングス(2503)
キリンホールディングスはビール大手で、外食需要の回復で業務用ビールが伸びています。
株主優待としてはビールや清涼飲料の詰め合わせ、キリンシティで使える食事券など、選択肢が豊富です。ビール好きやキリン製品を愛用する方におすすめです。
STIフードホールディングス(2932)
STIフードホールディングスはさまざまな水産食品を取り扱う企業で、株主優待では自社ブランドの缶詰セット(3,000円相当)がもらえます。
缶詰には王道の「金華さばの水煮・味噌煮」から「まぐろのパテ」まで、多彩な種類があります。缶詰好きの方に魅力的な優待です。
トリドールホールディングス(3397)
トリドールホールディングスは「丸亀製麺」を運営しており、株主優待としてグループ店舗で使える優待食事割引カード(3,000円相当)を年2回もらえます。
全国に約1,000店舗あるため、使い勝手が非常に良く、うどんや他の業態の店舗も含めて利用できます。
マンダム(4917)
マンダムは化粧品メーカーで、株主優待では自社商品の詰め合わせがもらえます。
男性向けの製品が多いですが、女性用の製品も入っているため、家族全員で活用できます。優待と配当額を合わせると非常に魅力的な銘柄です。
西松屋チェーン(7545)
西松屋チェーンは乳幼児向けの商品を取り扱う店舗を展開しており、株主優待では「西松屋」で使える優待買物割引カード(1,000円相当~)をもらえます。
オンラインストアでも利用可能な割引カードで、子育て世代にとって特に便利です。継続保有で優待価額がアップする点にも注目です。
まとめ
株主優待とは
株主優待とは、企業が一定数以上の株式を保有する株主に対して、配当金やキャピタルゲイン(売却益)とは別に、特典や商品を提供する制度のことです。優待の内容は企業によって異なり、自社製品や割引券、ギフト券、カタログギフトなどさまざまです。株主優待は、企業が株主に感謝の気持ちを伝え、株式保有を促す目的で導入されています。
株主優待を受け取るには
株主優待を受け取るためには、優待制度を実施している企業の株式を保有している必要があります。企業が設定した優待の権利を得るためには、指定された基準日(権利確定日)に株主名簿に記載されている必要があります。優待の内容や株数の条件は企業ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。
権利付き最終日を覚えておく
権利付き最終日とは、株主優待を受けるための権利を得るために株式を購入する最終日です。権利付き最終日の翌日が権利落ち日となり、この日に株式を保有していることで優待を受ける権利が得られます。権利付き最終日は企業ごとに異なるため、優待を受けたい企業の情報をチェックしておきましょう。
株主優待の注意点
株主優待を目的として投資を行う場合、以下の点に注意が必要です。
- 株主優待制度は企業の都合によって廃止されたり変更されたりする可能性がある。
- 優待目的の投資を行う際は、企業の業績や財務状況を確認し、株価変動リスクを把握しておく。
- 優待を受け取るために必要な株数や条件を確認し、最低投資金額を把握しておく。
- 優待内容が自身のニーズに合っているかどうかを考慮する。
新NISAの活用で株主優待
新NISA制度では、成長投資枠とつみたて投資枠の2種類の枠を利用できます。成長投資枠では年間240万円までの株式投資が可能で、株主優待株を購入することができます。
新NISAの非課税メリットを活用しながら株主優待投資を行うためには、成長投資枠とつみたて投資枠を適切に使い分けることが重要です。成長投資枠で優待株を購入しつつ、つみたて投資枠を利用して投資信託などの分散投資を行うことで、リスクを分散させることができます。
さらに、配当金や売却益も考慮して銘柄を選ぶことで、株主優待だけでなくさまざまなリターンを得ることができます。しっかりと情報収集を行い、投資戦略を立てて株主優待投資を楽しみましょう。
最後に
新NISAを活用して株主優待投資を行うことで、非課税のメリットを活かしつつ多様なリターンを得ることが可能です。しかし、株主優待を目的に投資を行う場合、優待制度の変更や廃止のリスク、株価変動リスクに注意する必要があります。優待を目的とするだけでなく、企業の業績や財務状況、将来性を総合的に判断して投資先を選びましょう。
成長投資枠とつみたて投資枠を適切に使い分けることで、株主優待の魅力を享受しながらリスク分散を図ることが可能です。また、株主優待の条件や内容を事前に確認し、自身のニーズに合った優待を選ぶことも大切です。
株主優待投資は、企業への長期的な投資と組み合わせて行うことで、配当金や売却益などさまざまなリターンを得ることができます。これらの要素をバランスよく取り入れることで、株主優待投資を楽しみながら資産形成を行うことができるでしょう。