初めての投資信託での急落時の心得：冷静な判断と長期目線を持つ

新NISAの導入により、投資への関心が高まり、多くの初心者が市場に参入しています。しかしその一方で、株式市場の変動に対する不安も同様に増しています。特に「下落」や「暴落」といった言葉が頻繁に耳にされる中、初心者投資家は心理的に揺れ動くことがあります。本記事では、株式市場の下落時に適切な対応を取る方法や、メンタルを保つためのアプローチについて探っていきます。初心者の方々が安定した心構えを持ち、投資を継続するための指針となることを目指します。

急落時に焦って行動しないこと

不確実性の高い時期に投資を行う際、急激な株価変動や市場の混乱に直面することがあります。2008年のリーマンショックや2011年の欧州債務問題のような出来事は、投資家にとって大きな試練となりました。このような時期に、多くの投資家が陥りがちなのが、感情に左右された過剰な反応です。

特に、「最悪期に慌てて解約してしまう」と「月々の積み立てをストップしてしまう」という行動は、後々に大きな損失を招く可能性があります。では、不確実性の高い時期にはどのように対応すればよいのでしょうか。次の段落では、その具体的な方法について探ってみましょう。

そもそも何故急落するのか

株価の急落は、市場の需要と供給のバランスが崩れた結果起こります。このバランスは、企業の業績や経済状況、政治・経済の動向、国際情勢など、さまざまな要因によって左右されます。

まず、企業の業績が大きな影響を与えます。良好な業績が期待されると株価は上昇し、逆に不振な業績は株価を下落させます。景気の動向も重要で、景気が拡大すると企業の収益が増えるため、株価も上昇しますが、景気が悪化すると逆に株価は下落します。金利の変動も株価に影響を与え、金利が上がると企業の貸借や投資活動が制約され、株価は下落します。

また、為替相場の変動も株価に影響を与えます。円高は輸出企業にとっては不利となり、円安は逆に輸出企業にとっては好ましい状況です。政治・経済の動向や国際情勢も株価に大きな影響を与えます。政治の不安定さや国際紛争の激化などは、投資家の不安を引き起こし、株価を下落させる要因となります。

株価急落の原因としては、急激なニュースや出来事が挙げられます。企業の重大な事故や不祥事、自然災害などが発生すると、投資家の信頼が揺らぎ、株価は急落します。また、海外の株式市場での大規模な売り込みや急落も、国内の株価に影響を与えることがあります。

株価急落の際には、まず冷静になり、原因を把握することが重要です。一時的な要因によるものであれば、市場が回復することもあります。しかし、株価急落の背後に潜む構造的な問題やリスクもあるため、投資家は慎重な姿勢を持つことが求められます。

下落・急落・暴落の違いとは

「下落」、「急落」、そして「暴落」は、いずれも株価や市場の動きを表す言葉ですが、それぞれ微妙に異なるニュアンスを持ちます。

下落:

一般的な株価の値下がりを指します。特に速度や幅に関して明確な基準はありません。市場が一定の期間にわたって緩やかなペースで値下がりしている場合や、個々の株価が穏やかに下がっている場合に使われます。

急落:

比較的短期間で大きな幅で株価が下がることを指します。一般的には、一日や数日の間に株価が急速に下がる場合に使われます。急落の場合でも、具体的な割合や幅に関する明確な基準はありませんが、一般的には数パーセント以上の急激な値下がりを指します。

暴落:

最も激しい株価の値下がりを指し、通常は市場全体や複数のセクターが同時に大幅に下落する場合に使われます。暴落は急落よりもさらに大きな幅での値下がりを示し、一般的には一日で一定の割合（たとえば10％以上）以上の株価の下落を指します。暴落はしばしば市場の混乱や不安を引き起こし、投資家や市場参加者に大きな影響を与えることがあります。

急落した時の対処法

株価が急落したときの対処法は、投資目的や状況によって異なります。以下は、その3つの主な対処法とその詳細です。

保有したまま様子を見る

投資信託などの資産運用では、長期的な運用によりリスクが抑えられ、安定したリターンを得られます。老後資金などの長期目標に向けて投資をしている場合は、短期の株価急落にはあまり気にする必要はありません。資金をすぐに使う予定がない場合も同様です。

相場の下落時に、つみたてを中断したり減額したりするよりも、継続したほうが、相場が回復したときにリターンが大きくなるのは、ドルコスト平均法によるものです。

ドルコスト平均法とは、投資信託や外貨のような値動きのある金融商品を定期的に一定の金額で購入する手法を指します。ドルコスト平均法の特徴は、価格が低いときは多く購入でき、価格が高いときは少なく購入できることです。

慌てずに静観

株価急落の原因や対処法がわからない場合は、焦らずに静観することが重要です。過度な取引や情報収集に走らず、相場の動向を冷静に見守りましょう。

思い切って買い増しする

株価が下落したときは、同じ銘柄を安く買い増すことができるチャンスです。一時的な下落と判断される場合は、ポートフォリオを強化するために買い増しすることもあります。

急落時に慌てないための心得

株価の急落に対処するためには、以下のポイントを心がけることが重要です。

余裕資金で投資する

投資に使う資金は、生活費や急な支出に影響を及ぼさない余裕資金から使いましょう。投資にはリスクがつきものであり、株価急落時にも資金が必要となることがあります。余裕のある資金で投資を行うことで、急な変動に対処しやすくなります。

すぐに必要なお金は貯蓄で用意しておく

投資の前に、緊急時や予期せぬ出費に備えるための貯蓄を行いましょう。急な支出に対応できるように、十分な備えをしておくことが大切です。投資に充てる資金は、まずは生活に必要なお金を確保することが優先です。

投資のルールを決めておく

投資を始める際には、株価急落時の対処法を含む投資のルールを決めておきましょう。例えば、損失が一定額に達した場合の売却ルールや、定期的なポートフォリオの見直しのタイミングなどを定めておくことで、感情に左右されずに冷静な判断ができます。

計画的に投資する

投資は目的や期間を明確にして計画的に行うことが大切です。目標に向けて必要な資金をいつまでに準備し、どのようなリスクを取るかを考慮した上で投資を行いましょう。計画的な投資は、株価の変動にも冷静に対処することができます。

これらのポイントを踏まえて、投資を行う際には慌てずに冷静に行動することが重要です。自分の状況や目標に合わせて適切な対処法を選択し、長期的な視点で投資を行いましょう。

分散投資でリスクの分散

資産クラス分散は、単純に株式や債券などの特定の資産に投資するのではなく、さまざまな資産に投資することです。この方法を用いることで、投資ポートフォリオ全体のリスクを分散し、安定した収益を得ることができます。

例えば、株式と債券は一般的に逆相関の関係にあります。景気が好調な時期には株式市場が上昇し、金利が上昇するために債券価格が下落します。そのため、株式と債券を組み合わせることで、株価の下落時に債券価格の上昇がリスクを緩和し、ポートフォリオ全体の安定性を高めることができます。

さらに、国際分散型の投資信託を利用すると、特定の国や地域の経済や政治の影響を受けにくくなります。複数の国や地域に分散して投資することで、特定のリスクに対する耐性を高め、ポートフォリオ全体の安定性を向上させることができます。

つまり、資産クラス分散を行うことで、投資先のリスクを分散し、安定した収益を得ることができます。これは、投資家が長期的な視野で資産を運用する際に重要な戦略の一つです。

バランス型の投資信託もある

複数の資産クラスに分散投資をする場合、投資信託を利用するのが一般的です。しかし、複数の投資信託を個別に選んで組み合わせる方法と、バランス型投資信託を利用する方法があります。

個別に投資信託を選び組み合わせる場合は、例えば米国株、日本株、米国債券、国内債券など、複数の資産クラスに投資する投資信託を選んで組み合わせます。しかし、それぞれの投資信託を選ぶ際には、それぞれの資産クラスに関する情報を収集し、比較・選択する必要があります。また、購入比率や積立額なども考慮する必要があります。

一方、バランス型投資信託を利用する場合は、複数の資産クラスに自動的に分散投資することができます。この場合、1本の投資信託を購入するだけで複数の資産クラスに分散投資ができるため、手間がかかりません。また、投資比率の管理やリバランスも投資信託の運用会社が行ってくれるため、投資家は手軽に運用を行うことができます。

投資信託を利用した分散投資は、長期的な資産形成を目指す投資家にとって有効な方法です。特に、バランス型投資信託を利用することで、手間をかけずに効果的な分散投資を行うことができます。

バランス型のデメリット

バランス型投資信託は初心者向けとされることがありますが、その選択には注意が必要です。以下に、バランス型投信が初心者におすすめできない理由を解説します。

保有資産や基準価額の動きの原因が理解しづらい

バランス型投信は複数の資産が組み合わさっています。そのため、価格の変動があった場合、その原因がどの資産によるものか理解しにくいというデメリットがあります。

得られる利益が少ない可能性がある

バランス型投信はリスク低減効果がある反面、利益も限定的です。分散効果によってリスクは抑えられますが、その分価格の上昇幅も制限される可能性があります。また、高い手数料や税金の影響も考慮すべきです。

投資経験を積む機会が疎かになる可能性がある

バランス型投信は専門家がポートフォリオの組み立てや管理を行いますが、そのため投資経験を積む機会が減る可能性があります。投資初心者が便利さに惑わされ、経験を積む機会を逃すことがあるでしょう。

これらの理由から、バランス型投信は注意して選ぶ必要があります。投資を始める際には、十分な情報収集と自己分析を行い、自身の投資目標やリスク許容度に合った商品を選択することが大切です。

バランス型の注意点

バランス型投信を選ぶ際に注意すべき点は、国別の組み入れ比率です。多くのバランス型投信は、国内株式、国内債券、海外株式、海外債券の4つの資産クラスにそれぞれ均等に投資する構成となっています。しかし、この場合、国内株式と国内債券がポートフォリオ全体の50％を占めることになります。

このような構成は、実は適切な分散投資とは言えません。なぜなら、世界の株式・債券市場の動向を反映していないからです。実際に、世界の株式市場の時価総額を比較すると、アメリカが59.6％、日本が6.3％であることが分かります。このようなシェア比率を考慮せずに、バランス型投信が日本株に50％以上を割り当てているのは、分散効果を損なう可能性があります。

したがって、バランス型投信を選ぶ際には、国別の組み入れ比率に注目し、特に日本への割り当て比率が過度に高くなっていないかを確認する必要があります。投資信託のレポートや運用報告書には、詳細な組み入れ比率が記載されているので、複数の投信を比較して適切なバランスを見極めることが重要です。日本の比率が極端に高い投信は、世界の資本市場を十分に反映していない可能性がありますので、慎重に選ぶことが肝要です。

急落を経験した方が取った行動とは

相場の下落局面を経験した人の中で、最も多かった行動は「何もしなかった」（62.7％）です。これは、つまり投資を継続したことを示しており、多くの人がドルコスト平均法を実践していることが分かります。

次に多かったのは「積立金額を増やした」です。これは、市場が下落したときに安く購入できるチャンスと捉えて、投資を増やした人がいることを示しています。彼らも基本的にはドルコスト平均法を実践しています。

一方で、「積立を停止した」「積立金額を減らした」「売却した」の合計は23.4％と比較的少数派でした。これらの行動は、市場の不安やリスクに対する感情的な反応によって生じたものであり、ドルコスト平均法とは逆の行動です。

つまり、相場の下落局面で多くの人が落ち着いて投資を継続する一方で、一部の人は感情に流されてリスク回避の行動を取ったということが分かります。

急落時に慌てないために、知識をつけよう

投資の知識を身につけることは、急落した時に慌てないために非常に重要です。投資に関する理解を深めるための勉強法を知りたい場合は、以下の記事を参考にしてみてください。

この記事では、投資初心者が始めるべき勉強法を詳しく解説しています。投資の基本から始めて、徐々に知識と理解を深めていく方法を紹介しています。是非、参考にしてみてください。

まとめ

株式市場の下落時に適切な対応を取る方法や、メンタルを保つためのアプローチを探ることが重要です。初心者の方々が安定した心構えを持ち、投資を継続するための指針となることを目指しましょう。

急落時に焦って行動しないこと

• 過剰な感情に左右された反応は避けましょう。冷静な判断が重要です。
• 長期的な視点で投資を行うことが安定した収益を得る鍵です。

そもそも何故急落するのか

• 株価の急落は、企業の業績や経済状況、政治・経済の動向、国際情勢など、様々な要因によって引き起こされます。
• 急落時には原因を冷静に把握しましょう。一時的な要因であれば市場が回復する可能性もあります。

急落した時の対処法

• 保有したまま様子を見る：長期運用の場合は、冷静に市況を見守りましょう。
• 慌てずに静観する：情報収集や取引に走らず、相場の動向を冷静に見極めます。
• 思い切って買い増しする：株価が下落した時は、安く購入するチャンスです。

投資を行う際の心得

• 余裕資金で投資する：生活費や急な支出に影響を及ぼさない余裕資金から投資しましょう。
• すぐに必要なお金は貯蓄で用意する：緊急時や予期せぬ出費に備えるための貯蓄を行いましょう。
• 投資のルールを決めておく：損失の売却ルールやポートフォリオの見直しのタイミングなどを定めましょ
• う。
• 計画的に投資する：目的や期間を明確にして計画的に投資を行いましょう。

分散投資でリスクの分散

• 複数の資産クラスに投資することで、ポートフォリオ全体のリスクを分散し、安定した収益を得ることができます。
• バランス型投資信託を利用する際には、国別の組み入れ比率に注意しましょう。

最後に

株式市場の下落時には、冷静な判断と長期的な視点が重要です。急激な株価変動や市場の混乱に対して感情的に反応することなく、計画的に行動することが投資成功の鍵となります。投資を継続する際にはドルコスト平均法のような長期運用戦略が有効であり、市場の一時的な変動に左右されずに着実に資産形成を進めることができます。

さらに、分散投資やバランス型投資信託を活用することでリスクを分散し、安定した収益を追求することが可能です。しかし、投資にはリスクが付きものであり、慎重なリスク管理が不可欠です。投資に絶対はありません。リスクを理解して急落時にも慌てないようにしましょう。投資を行う際には、自身の状況や目標に合わせて適切なポートフォリオを構築し、感情に左右されずに堅実な投資を続けることが重要です。

平田　とかげ

マネ活を義務教育に！

はじめまして！私はこれまでに、投資しながら少しずつ資産を形成してきました。投資を始めた頃は全くの初心者でしたが、少額から始めて徐々に目指していきました。では、私が経験したリアルな投資のステップをシンプルに伝え、これから投資を始める方のお役に立つ情報を共有しています。ますので、ぜひ一緒に行っていきましょう！