CFDは初心者向きか?始める前に知っておきたい基礎知識
投資初心者として、CFD(差金決済取引)の世界に足を踏み入れようと考えたとき、さまざまな疑問や不安が浮かび上がってきます。レバレッジを活用して少ない資金で大きな利益を狙える一方で、リスクも高まるという点に戸惑いを感じているかもしれません。また、CFDが幅広い金融商品に投資できることは魅力的ですが、種類が多すぎてどれを選べば良いのか迷っている方も多いでしょう。
長期的な資産形成を目指すのか、短期的な値動きに挑戦したいのか、目標によってもCFDが自分に合った投資方法なのかどうかが異なります。リスクとリターンのバランスや、取引の仕組みを理解することが大切です。初心者として、CFDに対する不安を解消し、自分にとって適切な投資方法を見つけるために、情報収集や学習を重ねていきたいという思いを抱えていることでしょう。
CFD(差金決済取引)とは
CFD(差金決済取引)は、現物を保有せず、金融商品の値動きによる差額を取引する仕組みです。取引の際には証拠金(担保金)を証券会社に預け、その範囲内で売買を行います。以下でCFDについて詳しく解説します。
CFDの仕組み
CFD(差金決済取引)は、多様な金融商品に投資できる取引方法で、特に次のような特徴があります。
売りからも取引できる
- CFDでは「買い」(ロング)だけでなく、「売り」(ショート)からも取引できます。
- 価格が下がったときに利益を得られるので、相場が下落している局面でも利益を狙えます。
長い取引時間
- CFDの取引時間は平日24時間近くあることが多く、日本株の現物取引(9時〜15時)に比べて取引できる時間が長いです。
- 日中忙しい方でも、夜や早朝に取引できるため便利です。
レバレッジで少額から大きな利益を狙える
- レバレッジを使って、少ない元手で大きな取引ができます。
- 少額の証拠金で、通常の取引の何倍もの取引ができるので、大きな利益を狙えます。
- ただし、リスクも増大するので注意が必要です。
取引対象銘柄の種類が豊富
CFDでは、株式、株価指数、商品(コモディティ)など、多様な金融商品に投資できます。
株式CFD
米国や日本の有名企業の株式に投資できます。
株価が上がると利益を得られる「買い」だけでなく、下がると利益を得られる「売り」もできます。
株価指数CFD
日経平均やNYダウなど、株価指数に投資できます。
一国の代表的な企業の株価の動きに連動するため、国の経済状況を反映しています。
商品CFD
金、原油、天然ガスなど、商品に投資できます。
商品価格は世界の情勢や経済状況に影響を受けやすく、大きく値動きすることがあります。
FXや先物取引との違い
以下のポイントで、CFDとFXの違い、およびCFDと先物取引との違いについて簡潔に解説します。
CFDとFXの違い
投資対象: CFDは株価指数、商品(コモディティ)、債券、個別株など多様な資産に投資できます。FXは通貨ペア(例: ドル円、ポンド円)を対象としています。
取引形態: どちらも差金決済取引で、現物の受け渡しは行いません。
CFDの特徴: FXもCFDの一部と考えられるため、CFDにはFXに似た特性がありますが、FXよりもさまざまな資産クラスに投資できるのが特徴です。
CFD取引と先物取引の違い
売買方法: 先物取引は取引所で行われ、決められた期日(満期日)に特定の商品を売買します。CFDには取引所CFDと店頭CFDがあります。
コスト: CFDは一般的に取引手数料がかからない一方、先物取引には手数料がかかります。ただし、CFDではスプレッドがコストとしてかかります。
決済期限: 先物取引は決済期限があり、期日が来ると自動的に決済されます。CFDは決済期限がなく、自分のタイミングで決済できます。
レバレッジ: CFDの最大レバレッジは商品や業者によって異なりますが、一般的に先物取引の方が高い傾向があります。先物取引は10〜30倍程度のレバレッジが一般的です。
取引単位: CFDは少額から取引が可能で、取引単位が小さいです。先物取引はCFDより取引単位が大きくなることが多いです。
取引時間: CFDはほぼ24時間取引可能です。先物取引は取引時間が限られていることが一般的です。
銘柄の選択肢: 先物取引は取引所に上場された商品しか取引できませんが、CFDはより幅広い銘柄を取引できます。CFDは個別株やハイリスク・ハイリターンのETFなども取り扱っていることがあります。
CFDの種類について
CFDには、「取引所CFD」と「店頭CFD」の2種類があります。それぞれの特徴と違いについて、分かりやすく説明します。
取引所CFD
- 概要: 取引所CFDは、東京金融取引所が提供する取引所株価指数証拠金取引(くりっく株365)を介して取引するCFDのことです。
- 取引所の利用: 取引は東京金融取引所を通して行われるため、透明性が高く、規制も厳格です。
- 投資者保護: 取扱業者が破綻した場合でも、投資者保護基金の対象であるため、一般顧客ひとりにつき1,000万円までの証拠金が保護されます。
- 取り扱い商品: くりっく株365では、国内外の株価指数を主な対象として取引します。
店頭CFD
- 概要: 店頭CFDは、投資家とCFDサービス提供会社(証券会社など)で直接取引をうCFDのことです。
- 直接取引: 投資家は取引所を介さず、CFDサービス提供会社との相対取引を行います。
- 投資者保護: 店頭CFDは投資者保護基金の対象外であり、提供会社が破綻した場合のリスクがあります。そのため、会社の信頼性を確認することが重要です。
- 取り扱い商品: 店頭CFDは、多種多様な金融商品を取り扱います。株式、株価指数、商品(例:金、原油)、通貨(FX)など、取引できる銘柄数が多いのが特徴です。
取引所CFDと店頭CFDの大きな違いは、取引所を通すかどうかと、投資者保護の対象となるかどうかです。
取引所CFDは取引所を通じて取引を行い、投資者保護基金の対象となるため、安心感があります。
店頭CFDはCFDサービス提供会社との直接取引で、取り扱う銘柄の種類が豊富です。
どちらを選ぶかは、取引の透明性やリスクに対する考え方、取り扱い商品の種類など、投資家自身のニーズやリスク許容度に基づいて決定することが重要です。
CFDのリスクについて
CFD(差金決済取引)は、現物の受け渡しを行わずに金融商品の価格変動に基づく差額を取引する方法ですが、リスクは比較的高いです。以下では、CFDのリスクについて分かりやすく解説します。
元本保証がない
- CFD取引は元本保証がないため、投資した資金が全て戻ってくる保証はありません。
- 原資産の価格変動や経済情勢、金利動向などによって、投資した資金が減少するリスクがあります。
レバレッジのリスク
- CFDはレバレッジ取引を行うことができ、少ない証拠金で大きな取引をすることが可能です。
- レバレッジを使うと、利益も大きくなりますが、損失も増大します。
- 証拠金以上の損失を被る可能性があります。
不足金のリスク
- 証拠金以上の損失が出た場合、追加で証拠金を入金する必要があります。この不足金をカバーしなければならないリスクがあります。
- 不足金を迅速に補填しないと、ポジションが強制的に決済される可能性があります。
市場の変動
- 市場の急激な変動や予想外のニュース、出来事によって価格が急変する可能性があります。
- 予期せぬ変動によって大きな損失が発生する可能性があります。
CFDは柔軟な投資が可能で、多くの金融商品に投資できる魅力がありますが、リスクも伴います。特にレバレッジを使った取引は大きなリスクを伴うため、慎重なリスク管理が必要です。取引を行う際は、自分のリスク許容度を理解し、適切な証拠金管理とリスク管理を行うことが重要です。また、CFD取引を始める前にリスクを十分に理解し、取引プランを立てることが大切です。
CFDのメリット
CFDの「5つのメリット」をわかりやすく解説します。
魅力的な国内外の銘柄への手軽な投資
- CFDは世界中のさまざまな金融商品に投資できる金融商品です。
- NYダウ、日経平均、金、原油、個別株、国債など、多様な銘柄に投資できます。
レバレッジ効果で少ない資金から取引
- レバレッジを使うことで、少ない資金で大きな取引ができます。
- 最大レバレッジは商品の種類によって異なり、効率的に利益を狙うことが可能です。
取引手数料は基本無料
- CFDの取引手数料は基本的に無料です。
- 実質的なコストは、スプレッド(買値と売値の差)だけです。
- 一部の銘柄では取引手数料が発生する場合もあります。
買いも売りも取引スタートが可能
- 上昇相場でも下落相場でも利益を狙うことができます。
- 買いだけでなく、売りからも取引を始めることができ、取引の幅が広がります。
ほぼ24時間取引可能
- 銘柄によって取引時間は異なりますが、CFDはほぼ24時間取引が可能です。
- 自分のペースで取引できるため、ライフスタイルに合わせて柔軟に取引できます。
- CFDは多様な銘柄や市場へのアクセス、効率的な資金運用、取引手数料の低さなどが魅力的な金融商品です。
CFDの運用で注意する点
銘柄が多すぎて迷いやすい
- CFDは多くの種類の銘柄を取り扱っているため、初心者や経験の浅い投資家にとっては、どの銘柄を取引するか選ぶのが難しい場合があります。
- 初心者は、まずメジャーな株価指数や商品に焦点を絞るのがおすすめです。
情報が少ない銘柄がある
- 銘柄によっては、取引に必要な情報が少なく、予測や判断が難しいことがあります。
- 新興国の株価指数や知らない海外企業の株式など、情報が不足しがちな銘柄に注意が必要です。
リスクコントロールが重要
- レバレッジをかけた取引ができるため、リスクコントロールが他の金融商品以上に重要です。
- 口座全体で見た相対的なレバレッジを管理し、リスクを適切にコントロールしましょう。
- 特に中長期の取引では、レバレッジのかけすぎに注意が必要です。
スプレッドが変動する
- CFDではスプレッド(買値と売値の差)が変動制であるため、取引コストが都度変わります。
- 取引コストが予測しにくいため、取引の総コストを計算するのが難しい点があります。
- 取引コストがどのように変動するのか、注意しておく必要があります。
長期投資には向かない
- CFDはレバレッジ取引のため、価格の変動が大きくなる可能性があります。
- 短期的な価格変動に対応できる一方で、長期投資には不向きです。
- 長期間ポジションを保持する場合、損益が大きく変動しやすい点に注意しましょう。
コストがかかる
- CFD取引にはスプレッド(買値と売値の差)がかかります。スプレッドは実質的な取引コストです。
- スプレッドは固定制ではなく変動制が一般的で、取引ごとに異なるためコストを予想しづらいです。
- コストを考慮し、収益を確保できる価格変動が必要です。
CFDの利益に税金はかかります
CFD取引で発生した利益にかかる税金について、分かりやすく解説します。
税率:
CFD取引で得た利益は「雑所得」として課税されます。
税率は、20.315% です(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)。
課税対象:
課税されるのは、1年間で確定した売買益(利益)や、証拠金に反映された配当・金利・調整金です。
ただし、取引中の未決済の建玉(未決済ポジション)は課税対象外です。
新規建玉(ポジション)であっても、決済せずに年を越せば、その評価損益は課税対象にはなりません。
損益の通算:
CFD取引で生じた損益は、FX取引、商品先物取引、日経225先物・オプション取引、くりっく365などの差金決済取引で生じた損益と通算できます。
他の取引での損益と合算して申告できるため、利益と損失を相殺できることがあります。
損失の繰越控除:
CFD取引で生じた損失は確定申告を行うことで、翌年以降3年間、先物取引に係る雑所得から繰越控除できます。
繰越控除を受けるためには、損失が生じた年と、その後の3年間は確定申告を行う必要があります。
確定申告:
CFD取引で利益または損失が生じた場合、確定申告が必要です。
損失が生じた場合も確定申告を行うことで、翌年以降の損失繰越控除が可能になります。
CFDの税金に関しては、利益が出た場合の課税と損失が出た場合の繰越控除を正しく理解しておくことが大切です。確定申告の際には、専門家のアドバイスを受けることも検討すると良いでしょう。
投資初心者は手を出すべきではない?
CFD(Contract for Difference)は、レバレッジを活用して大きな利益を狙える取引です。しかし、その反面、リスクも大きくなるため、投資経験が少ない初心者にはあまり向いていないといえます。以下に、CFDが初心者向きではない理由を分かりやすく解説します。
CFDが初心者向きではない理由
- レバレッジの影響:CFD取引ではレバレッジをかけることで証拠金の何倍もの取引が可能です。大きな利益を狙える一方で、損失も拡大しやすく、証拠金以上の損失を被る可能性があります。追証(追加の証拠金)を求められるリスクもあるため、リスク管理が難しいです。
- 価格変動リスク:CFDは価格変動に基づく短期的な取引が中心です。予測が外れると損失が生じるため、経験や知識が乏しい初心者には不安定な状況に対応するのが難しいかもしれません。
- 長期投資に不向き:CFDは短期的な取引が中心で、価格変動に乗じて利益を狙うため、長期的な資産形成を目的とした投資には適していません。
- 複雑な取引:CFD取引はさまざまな金融商品に対応しているため、取り扱う商品や市場の知識が求められます。また、スプレッドなどのコストも変動制が主流であり、計算しにくいです。
初心者へのアドバイス
初心者の方が投資を始める際は、まずはリスクが少なく、安定した運用ができる方法を検討すると良いでしょう。たとえば、積立投資やインデックスファンドなどの長期的な資産形成を目指した投資が適しています。
また、CFD取引を行う場合は、しっかりと知識を身につけ、リスクを理解した上で、余剰資金を活用して慎重に始めることをおすすめします。リスク管理のために、ストップロスなどのリスク対策も欠かさず行いましょう。
まとめ
CFDとは
CFD(Contract for Difference)とは、差金決済取引のことです。原資産の価格変動による差額で利益を得る投資手法です。CFDは、株価指数、商品、為替、個別株など幅広い金融商品に対して行えます。
CFDの仕組み
CFD取引は、原資産を保有せずに価格の変動による差額を取引します。例えば、原資産の価格が上がると予測して「買い」ポジションを建て、上昇した際に決済すれば差額分の利益が得られます。反対に「売り」からも始められるので、価格の下落を予測して利益を狙うこともできます。証拠金を預けてレバレッジをかけることで、大きな取引が可能になります。
CFDのデメリットとリスク
- 元本以上の損失:レバレッジをかけるため、証拠金以上の損失を被る可能性があります。
- 追証リスク:証拠金が不足した場合、追加の証拠金(追証)が求められることがあります。
- 価格変動リスク:原資産の価格変動が激しいと、予想外の損失を被ることがあります。
- 情報不足:銘柄によっては、情報が少なく判断が難しい場合があります。
CFDのメリット
- 幅広い金融商品への投資:株価指数、商品、為替、個別株など多様な金融商品に投資できます。
- 売りからも始められる:価格の下落を予測して利益を狙うことができます。
- レバレッジ効果:少ない資金で大きな取引ができ、効率的に利益を得られます。
- ほぼ24時間取引可能:多くのCFD銘柄は土日を除く24時間取引可能で、自由な時間で取引できます。
CFDのコストや税金
- スプレッド:CFD取引のコストは、売値と買値の差であるスプレッドです。スプレッドは固定制ではなく変動制が一般的で、取引のたびにコストが異なります。
- 税金:CFDの利益は「雑所得」として課税対象で、税率は20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)です。確定申告が必要です。
初心者の注意点
- レバレッジの利用:レバレッジをかけすぎるとリスクが増大するため、適度なレバレッジで取引を行いましょう。
- リスク管理:ストップロス注文などを活用し、損失を抑える手段を講じましょう。
- 情報収集:取引する原資産の情報をしっかり収集し、市場の動向を把握しましょう。
- 追証リスクに注意:証拠金が不足すると追証が発生しますので、十分な証拠金を用意しましょう。
- 少額から始める:初めてCFDを行う場合、最初は少額の資金で経験を積むことをおすすめします。
最後に
CFD(差金決済取引)は、幅広い金融商品に対して投資できる魅力的な手法です。レバレッジを活用して効率的に利益を狙える一方で、元本以上の損失や追証リスクなどのリスクも伴います。初心者にとっては特に、リスク管理や情報収集が重要です。
CFDを成功させるためには、適切なリスク管理と慎重な取引が求められます。少額から始め、ストップロス注文を活用するなどして損失を最小限に抑えましょう。また、確定申告や税金の問題にも対応する必要があります。
総じて、CFDは経験豊富な投資家やリスクを十分に理解した上での取引が求められるため、慎重に判断して取り組むことが大切です。自己責任で取引を行い、自分に合った投資手段を選ぶよう心がけましょう。