eMAXIS Slimシリーズとは?初心者向けの選び方
いざ、投資を始めようと思っている初心者の方は何を選んだらよいかわからないと思います。一番最初は、プロが様々な銘柄をパッキングして多少分散もされているインデックスファンド(投資信託)を選べばいいと思うのですが、インデックスファンドもたくさんあり迷いどころです。
ネットなどでインデックスファンドを調べていると、「eMAXIS Slim(イーマクシススリム)」を目にしたことがあると思います。eMAXIS Slimシリーズの「eMAXIS Slimオールカントリー」や「eMAXIS Slim S&P500」が初心者にはリスクが少なく始めやすいとされています。
「eMAXIS Slimオールカントリー」以外にも全世界のインデックスファンドはあるし、「eMAXIS SlimS&P500」以外にもS&P500指数に連動したインデックスファンドは存在します。
今回は、
- eMAXIS Slimは、なぜ人気なのか。
- eMAXIS Slimシリーズは、ほかにどんなものがあるのか
この内容を解説・紹介していきます。
eMAXISシリーズとは
eMAXIS(イーマクシス)シリーズは、三菱UFJ国際投信が提供するノーロード・インデックスファンド・シリーズの一つです。では、「ノーロード」とは具体的に何を意味するのか、分かりやすく解説しましょう。
ノーロードとは、購入時の手数料がかからない投資信託のことを指します。つまり、eMAXISシリーズのファンドを購入する際には、初期費用として手数料を支払う必要がないということです。これにより、投資を始める際にかかる負担が軽減され、投資家が自分の投資先を選びやすくなります。
一般的に、投資信託を購入する際には手数料がかかることがありますが、ノーロードの場合はその手数料が不要です。
つまり、eMAXISシリーズは手数料がかからないため、投資を始める際の負担を軽減し、投資家がより自由に選択できる環境を提供しています。
eMAXISシリーズは、4つある
eMAXISシリーズは、三菱UFJ国際投信が提供する4つの異なるファンドで構成されています。それぞれのファンドには異なる特性や目的があります。
eMAXIS(イーマクシス)
- 資産運用の基本ツールとして利用されています。
- 幅広い投資対象に分散投資が可能であり、一般的なインデックスファンドとして広く知られています。
eMAXIS+(イーマクシスプラス)
- さらなる資産形成を目指す投資家向けのファンドです。
- 高いリスク許容度や積極的な資産形成を望む投資家に適しています。
- eMAXISよりもリスクが高く、リターンも見込める可能性があります。
eMAXIS Slim(イーマクシススリム)
- コストに重点を置いた投資家向けのファンドです。
- 運用コストが業界最低水準であり、低コストで投資を行いたい人に適しています。
eMAXIS Neo(イーマクシスネオ)
- AIを活用した革新的なテーマ指数に連動するファンドです。
- 新しいテクノロジーやトレンドに投資したい投資家に向いています。
- eMAXISシリーズの中で最も革新的で、将来の成長性を追求する人に適しています。
それぞれのファンドは異なる投資スタイルやリスク許容度に合わせて設計されており、投資家が自分の目標やニーズに合ったファンドを選択できるようになっています。
eMAXIS Slimシリーズの人気の理由
eMAXIS Slimシリーズが人気を集める理由は、いくつかの要因が絡み合っています。それらを詳しく解説していきます:
業界最低水準の運用コスト
eMAXIS Slimシリーズは、他の同様のファンドよりも運用コストが格段に低いです。つまり、投資家がファンドに投資する際に支払う費用が非常に少ないので、収益を最大化しやすくなっています。この低コストは、投資家にとって大きなメリットです。
国内最大規模の純資産総額
eMAXIS Slimシリーズを運用する三菱UFJアセットマネジメントは、国内で最大規模の純資産総額を誇っています。このため、投資家は十分な分散投資効果を得やすく、安定的な収益を期待できます。大規模な資産規模は、投資家にとって安心感を提供します。
SNSでの情報発信に積極的
三菱UFJアセットマネジメントは、SNSを活用して情報発信を積極的に行っています。投資家はSNSを通じて最新情報を入手でき、ファンドに関する理解を深めることができます。これにより、投資家とのコミュニケーションが活発化し、信頼関係が築かれます。
インフルエンサーの後押し
eMAXIS Slimシリーズは、手数料の安さから多くの投資ブロガーやインフルエンサーに推奨されています。彼らの推奨により、一般の投資家にもファンドの魅力が広く浸透しました。また、「Fund of the Year 2023」などの賞を受賞するなど、その評価も高いです。
初心者におすすめしたい理由
人気の理由とも重複してしまうが、運用コストの低さが魅力になっている。
業界最低水準の運用コスト
eMAXIS Slimシリーズは、他の同様のファンドに比べて非常に低い運用コストを実現しています。これは、投資家がファンドに投資する際に支払う手数料や管理費が非常に少ないことを意味します。初心者の方にとって、投資を始める際のコストは非常に重要です。低いコストで投資を始めることができれば、将来的な収益を最大化しやすくなります。
純資産総額も右肩上がりで増加
eMAXIS Slimシリーズの純資産総額は着実に増加しています。つまり、多くの投資家がこのファンドに資金を投入しており、信頼性が高いと言えます。投資初心者にとって、大手のファンドや運用会社に投資することは安心感があります。eMAXIS Slimシリーズはその点で信頼できる選択肢です。
相対的にベンチマークとの乖離(かいり)が小さい
eMAXIS Slimシリーズのファンドは、市場の動きに対してベンチマークとほぼ同じように動いています。つまり、ファンドの運用成績が安定しており、予想通りの動きをしているということです。このような安定した運用成績は、投資初心者にとって非常に重要です。リスクを最小限に抑えながら、安定した収益を得ることができます。
eMAXIS Slimシリーズ 14種
eMAXIS Slimシリーズは、株式、債券、不動産(REIT)などの異なる資産クラスに分散投資ができる14種類の商品を提供しています。それぞれの商品の特徴を以下で詳しく解説します。
株式
eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)
- 対象指数:TOPIX(東証株価指数)
- 目指す運用成果:TOPIXに連動した運用成果
- 特徴:日本国内の株式に投資し、TOPIXに連動した運用成果を目指す。
eMAXIS Slim国内株式(日経平均)
- 対象指数:日経平均株価
- 目指す運用成果:日経平均株価に連動した運用成果
- 特徴:日本国内の株式市場に投資し、日経平均株価に連動した運用成果を目指す。
eMAXIS Slim先進国株式インデックス
- 対象指数:MSCIコクサイ・インデックス
- 目指す運用成果:先進国株式に幅広く分散した運用成果
- 特徴:先進国の株式市場に幅広く分散投資し、MSCIコクサイ・インデックスに連動した運用成果を目指す。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
- 対象指数:S&P500指数
- 目指す運用成果:S&P500に連動した運用成果
- 特徴:米国株式市場に投資し、S&P500指数に連動した運用成果を目指す。
eMAXIS Slim全米株式
- 対象指数:MSCI USA インベスタブル・マーケット
- 目指す運用成果:米国株式市場全体に連動した運用成果
- 特徴:米国株式市場全体に投資し、MSCI USA インベスタブル・マーケットに連動した運用成果を目指す。
eMAXIS Slim新興国株式インデックス
- 対象国:中国、台湾、インド、韓国など24ヶ国
- 目指す運用成果:新興国株式に幅広く分散した運用成果
- 特徴:新興国の株式市場に幅広く分散投資し、24ヶ国の指数に連動した運用成果を目指す。
eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)
- 対象国:日本を除く先進国22ヶ国と新興国24ヵ国
- 目指す運用成果:日本を除いた全世界の株式に幅広く分散した運用成果
- 特徴:日本を除く世界の株式市場に幅広く分散投資し、先進国と新興国の指数に連動した運用成果を目指す。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
- 対象国:日本を含む全世界の株式市場
- 目指す運用成果:全世界の株式に幅広く分散した運用成果
- 特徴:全世界の株式市場に幅広く分散投資し、全世界の指数に連動した運用成果を目指す。
eMAXIS Slim全世界株式(3地域均等型)
- 投資対象:日本、先進国、新興国の株式を均等に配分
- 目指す運用成果:日本、先進国、新興国の株式に均等に分散した運用成果
- 特徴:日本、先進国、新興国の株式市場に均等に分散投資し、3地域の指数に連動した運用成果を目指す。
債券
eMAXIS Slim国内債券インデックス
- 対象:日本国内の公社債に分散投資
- 特徴:国内の公社債に投資し、安定した値動きを特徴とする。
eMAXIS Slim先進国債券インデックス
- 対象:日本を除く先進国の公社債に分散投資
- 特徴:先進国の公社債に投資し、比較的高い利率と安定した運用成果を目指す。
REIT(リート)
eMAXIS Slim国内リートインデックス
- 対象:日本の不動産投資信託証券(REIT)に幅広く分散投資
- 特徴:日本の不動産市場への投資であり、安定的な配当を目指す。
eMAXIS Slim先進国リートインデックス
- 対象:日本を除く先進国の不動産投資信託証券(REIT)に分散投資
- 特徴:先進国の不動産市場への投資であり、国際的な不動産市況に応じた運用成果を目指す。
バランス型
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
- 投資対象:国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、新興国債券、国内リート、先進国リート
- 目指す運用成果:8つの資産クラスに均等に投資したバランスの取れたポートフォリオ
- 特徴:株式、債券、不動産(REIT)など8つの資産クラスに均等に投資し、バランスの取れたポートフォリオを提供する。
これらのeMAXIS Slimシリーズは、投資家が異なる地域や資産クラスに幅広く投資するための選択肢を提供しています。投資家は自身の投資目標やリスク許容度に応じて、これらの商品の中から適切なものを選択することが重要です。
初心者におすすめ 3商品
eMAXIS Slimシリーズには様々な投資商品がありますが、投資家の目的やリスク許容度に応じて最適なファンドが異なります。ここでは、投資初心者の方におすすめの3つのファンドを紹介します。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
- 対象指数: MSCI ACWI
- 特徴: このファンドは世界中の株式市場に幅広く分散投資ができるため、世界経済全体の成長に連動したリターンを期待できます。低コストで運用されており、多くの投資家に支持されています。
- ポイント: 「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the year」で4年連続1位に選ばれた実績があります。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
- 対象指数: S&P500
- 特徴: 米国の主要企業に投資することで、世界の株式市場の中心を担う優良企業への投資が可能です。低コストで運用されており、米国の経済成長に連動したリターンを期待できます。
- ポイント: 純資産総額が1兆円を超えるなど、高い人気と信頼性を持つ投資信託です。
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
- 特徴: 株式、債券、不動産など8つの資産クラスにバランスよく投資することで、ポートフォリオ全体のリスクを分散し、安定したリターンを目指します。安全性の高い債券や不動産も組み込まれており、リスクを抑えつつリターンを追求できます。
- ポイント: 株式型のファンドに抵抗がある方や、リスクを抑えた投資を希望する方に適しています。
これらのファンドは、それぞれ異なる投資目標やリスクプロファイルに対応しています。投資を開始する際には、自身の目標やリスク許容度を考慮し、適切なファンドを選択することが重要です。
オルカンとS&P500のメリット・デメリット
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の比較を通じて、それぞれのメリットとデメリットを掘り下げていきましょう。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
メリット:
分散投資の利点: 銘柄や投資地域の両面で分散投資することで、価格変動リスクを抑えやすい。
成長市場へのアクセス: 米国や他の先進国に加え、今後の経済成長が期待される新興国などの成長市場にも
投資できる。
デメリット:
米国への集中度: 投資地域の分散はされているものの、約60%が米国に集中しており、特定の地域の好景気がファンドの運用成績に反映しにくい。
市場の変化への対応: 世界経済の中心がアメリカ以外に移った場合のリスクヘッジが効かない。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
メリット:
米国の経済中心地への投資: 米国が世界経済の中心であり、その成長を直接享受できる。
安定した成長: 米国は先進国でありながらも人口が増加し続けており、今後の経済成長が期待される。
デメリット:
分散不足: 投資地域が限定されているため、価格変動リスクが大きい。
市場の変化への対応: 世界経済の中心がアメリカ以外に移った場合、リスクヘッジが効かない。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、投資地域の違いにより若干のメリット・デメリットが異なりますが、基本的にはどちらも世界経済の成長に連動するインデックスファンドです。
重要なのは、投資家が米国の経済成長を100%信じるかどうかです。信じる場合はeMAXIS Slim米国株式(S&P500)、疑義を感じる場合はeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)を選択することができます。
ただし、いずれのファンドを選んでも、リセッションなどの市場の変動には同じように反応します。そのため、リスクを管理し、長期的な視野で投資を行うことが重要です。
オルカンとS&P500との相性
この2つのファンドと相性が良い人
低コストで運用したい人: eMAXIS Slimシリーズは低コストで運用できるため、手数料を最小限に抑えて資産を積み立てたい人に適しています。特に長期投資を考えている人にとって、低コストは大きなメリットです。
気苦労少なく運用したい人: eMAXIS Slimシリーズは幅広い地域や銘柄に分散投資することができるため、市場の変動に対するリスクを最小限に抑えつつ、着実に利益を積み上げたい人に適しています。長期的な視野で運用を行い、安定した成果を望む人にとっては理想的です。
成長性を重視したい人: eMAXIS Slimシリーズは米国株式に重点を置いており、米国の経済成長に直接的に参加できるため、成長性を重視する投資家に適しています。特に、米国の先進技術企業や成長企業に投資したい人にとっては、このファンドが適しています。
この2つのファンドと相性が悪い人
米国の成長性に疑いを持っている人: 米国の経済や社会に対する懸念を持っている人は、この2つのファンドに投資することに不安を感じるかもしれません。特に、米国の市民経済格差や政治的分断などが気になる人にとっては、他の地域や資産クラスに分散投資するファンドが適しています。
もっと大きなリターンを得たい人: インデックスファンドは市場平均を追う性質があり、他の投資戦略に比べてリターンが小さいと感じるかもしれません。より大きなリターンを追求したい人にとっては、新興国や成長株に重点を置いたファンドが適していますが、その場合はリスクも増えることに注意が必要です。
eMAXIS Slimシリーズは低コストで運用できるため、長期投資や安定した成果を望む投資家に適しています。また、成長性を重視する投資家にとっては米国株式に重点を置いたファンドが適していますが、米国の経済や社会に懸念を抱く投資家や、より大きなリターンを求める投資家にとっては他の選択肢を検討する必要があります。
まとめ
eMAXIS Slimとは
eMAXIS Slimは、投資家がさまざまな投資スタイルに合わせて選択できる投資商品の一つです。このシリーズには、伝統的な資産(株・債券)に投資するシンプルなファンドから、複数の国や地域の多様な資産を組み入れたバランスファンドまで幅広い品揃えがあります。
eMAXIS Slimが人気の理由
- 業界最低水準の運用コスト: eMAXIS Slimシリーズは、業界で最も低い運用コストを提供しています。低コストは長期的な投資において重要であり、多くの投資家から高い評価を受けています。
- 国内最大規模の純資産総額: eMAXIS Slimシリーズは、三菱UFJアセットマネジメントの管理下で運用されており、その純資産総額は国内最大規模です。これにより、投資家は十分な分散投資効果を享受できます。
- SNSでの情報発信にも積極的: 運用会社である三菱UFJアセットマネジメントは、SNSなどを活用して情報発信を行っています。投資家は最新情報や運用方針を得ることができ、信頼性が高まっています。
- インフルエンサーたちの後押し: eMAXIS Slimシリーズは、低い手数料や高い資産規模から多くのインフルエンサーによって推奨されています。また、業界での高い評価もあります。
人気どころ 3選
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー):
世界中の株式市場に幅広く分散投資ができるファンドで、低コストで運用されています。4年連続1位に選ばれるなど高い評価を受けています。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500):
米国の主要企業に投資することで、世界の株式市場の中心を担う優良企業への投資が可能です。純資産総額が1兆円を超えるなど、高い人気と信頼性があります。
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型):
株式、債券、不動産など8つの資産クラスにバランスよく投資することで、ポートフォリオ全体のリスクを分散し、安定したリターンを目指します。株式型のファンドに抵抗がある方や、リスクを抑えた投資を希望する方に適しています。
オール・カントリーとS&P500の特徴
両ファンドとも、世界経済の成長に連動するインデックスファンドであり、投資家のリスク許容度や投資地域への信念に基づいて選択が可能です。米国の経済成長を信じる場合はeMAXIS Slim米国株式(S&P500)、疑義を感じる場合はeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)を選択することができます。
最後に
eMAXIS Slimシリーズは、その低コストで運用されることや豊富な商品ラインナップ、信頼性の高い運用会社によって多くの投資家から支持されています。しかし、投資には常にリスクが伴います。過去のパフォーマンスや人気だけでなく、投資先のファンダメンタルズや将来の見通しを十分に考慮することが重要です。
投資を行う際には、自身のリスク許容度や目標に応じて適切な商品を選択し、適切なリスク管理を行うことが不可欠です。また、投資に関する情報は常に変動するため、常に最新の情報を収集し、投資戦略を見直すことが必要です。
最終的な決定は、投資家自身の判断に委ねられます。専門家やアドバイザーとの相談を行いつつも、最終的な判断はご自身で行い、責任を持って投資を進めることが重要です。自身の投資目標に合った戦略を構築し、慎重に投資を行うことで、より良い投資体験を享受できるでしょう。