1株から買えないのか?ミニ株で少額からの投資練習をしよう
株式投資は、通常は100株から取引を始めることが一般的です。しかし、1株からでも投資できる方法があります。これを「ミニ株(単元未満株)」と呼びます。ミニ株を利用すると、少額から始められるので、初心者でも気軽に参加できます。
例えば、1株1,000円の株式がある場合、通常は100株で100,000円必要ですが、ミニ株なら1株から取引できます。少額から始めることで、投資に慣れていくことができますし、100株になるまでコツコツと購入していくと、株主優待をもらえる可能性もあります。
少額で取引できるため、失敗しても大きな損失を被る心配が少ないですし、練習のつもりで取引を始めることもできます。株式投資は経験を積んでいくことで、上達していくものなので、焦らずじっくりと始めましょう。
株式は何株から買えるのか
株式の売買単位は、通常は100株です。これは、2018年10月1日以降、全国の取引所で統一された規定です。つまり、株式市場で取引する場合、一度に100株以上の単位での取引が行われます。
100株単位で取引されるので、1単元株=100株になります。
株価は、1株あたりの値段を示します。例えば、ある企業の株価が1,000円の場合、1株を購入するためには1,000円必要です。しかし、株式の売買単位が100株であるため、実際に購入する場合は1,000円 × 100株 = 100,000円の資金が必要になります。
ただし、株式累積投資や株式ミニ投資といった制度を利用すれば、100株未満の数量から株式を購入することも可能です。ただし、これらの制度を利用する場合は、以下の点に留意する必要があります。
- 購入できる銘柄が限られる場合がある。
- 購入数量が100株未満の場合、議決権や株主優待を受ける権利が制限されることがある。
つまり、通常の取引では100株単位での取引が主流ですが、一部の制度を利用することで100株未満の数量からも株式を購入することができます。ただし、その場合は特定の条件や制約があることを理解しておく必要があります。
お金がない人は株を買えないのか
100株が1単元となります。その1単元(100株)よりも少ない数量で取引される株式のことを単元未満株といいます。
単元未満株について
単元未満株は、株式の売買単位が100株である一般的な取引に対して、それよりも少ない単位で取引が可能な株式のことを指します。
通常、株式市場では取引所が定めた基準に従って、株式の売買が行われます。これまでの慣習では、多くの取引所が株式の売買単位を100株としています。例えば、東京証券取引所でも株式の売買単位は100株です。
しかし、100株単位での取引だと、株価が高額である場合、個人投資家にとっては高い金額を一度に投資する必要があり、投資のハードルが高くなります。そこで、証券会社が個人投資家のニーズに応えるために、100株未満の数量で株式を購入できる仕組みを提供しています。
例えば、ある企業の株価が10,000円であり、100株単位での取引が基本である場合、最低投資額は100株 × 10,000円 = 100万円となります。
しかし、証券会社が単元未満株の取引を提供していれば、1株から購入することが可能になります。つまり、今回の例でいうと10,000円から取引が可能となり、より少額から投資を始めることができるようになります。
このように、単元未満株の導入は、個人投資家にとって投資のハードルを下げ、市場への参加を促進する役割を果たしています。
単元未満株は証券会社の保有になる
単元未満株は、証券会社の名義で保有されるため、一般的には議決権や株主優待を受ける権利がありません。通常、株主としての権利を行使するためには、株式の売買単位である100株以上を保有し、投資家の名義で保有する必要があります。
例えば、110株の株を保有している場合、100株は投資家の名義であり、残りの10株は証券会社の名義となります。この場合、議決権や株主優待を受ける権利は、投資家の名義である100株分のみが対象となります。
ただし、一部の証券会社では、特定の条件を満たすことで、単元未満株でも一定の株主権利を享受できる場合があります。また、単元未満株の取引に関する詳細は、各証券会社によって異なるため、取引を始める前に証券会社の取り扱い条件を確認することが重要です。
各証券会社の単元未満株の名称
主要なネット証券会社では、単元未満株を取り扱うための制度名称が以下のようになっています。
- SBI証券:「S株」
- 楽天証券:「かぶミニ」
- auカブコム証券:「プチ株」
- マネックス証券:「ワン株」
などがあります。
単元未満株のメリット
単元未満株には多くのメリットがあります。まずはその中でも代表的な4つのメリットを見ていきましょう。
メリット①: 少額投資なのでリスクが低い
単元未満株の最大のメリットは、手元の資金が少なくても株式投資を手軽に行える点です。例えば、株価が1,000円の株を考えましょう。通常の取引では1株あたりの価格に100株を掛け算するため、10万円必要になりますが、単元未満株なら1株単位で購入できます。そのため、1株あたりの価格分の資金、つまり1,000円で株を買うことができます(ただし、売買手数料は別途かかります)。
言い換えると、たったの1,000円からでも株主になれるわけです。この少額の投資額は、利益も少ないかもしれませんが、損失もそれほど大きくはありません。例えば、投資した企業が倒産したとしても、上記の例ではたったの1,000円を失うだけです。これに対して、通常の取引をしていた場合、10万円の投資金額が失われる可能性があります。
「個別株に投資してみたいけど、お金が少ないし…」、「損をしそうで怖い…」という株初心者の不安を解消することができる、ありがたい取引方法と言えます。つまり、単元未満株を利用することで、少額からでも株式市場に参加し、投資のリスクを抑えることができるのです。
メリット②: 配当金がもらえる
配当金は、株式会社が利益の一部を株主に還元するために支払われるもので、株主の権利の一つです。単元未満株を保有している場合でも、配当金を出している銘柄であれば、保有株数に応じて配当金を受け取ることができます。
具体的には、企業が決算を行い、その際に配当金の支払いを決定します。配当金は、通常は1株あたりの金額で計算され、保有している株数にその金額を乗じることで、配当金の総額が算出されます。そして、株主に対してその金額が支払われます。
例えば、ある企業が1株あたり100円の配当金を支払うことになった場合、単元未満株を保有している投資家も、保有している株数に応じてその配当金を受け取ることができます。つまり、配当金の受け取りは、株数に応じて行われるため、単元未満株でも配当金の恩恵を享受することができるのです。
メリット③: 分散投資をしやすい
単元未満株を利用することで、分散投資を行うことが容易になります。これには以下の2つの側面があります。
時間の分散
一単元(100株)を一度に購入するのではなく、単元未満株を利用して少しずつ購入することで、時間の分散を図ることができます。例えば、月ごとに一定額を投資することで、定期的に株式を購入し続けることができます。これにより、株式の購入タイミングや価格の変動に左右されず、投資を着実に積み立てることができます。
リスクの分散
1つの銘柄にすべての資金を投じるのではなく、複数の銘柄に投資することで、リスクを分散することができます。異なる業種や市場に分散した投資ポートフォリオを構築することで、特定の銘柄や業界のリスクに依存せずに投資を行うことができます。これにより、ある銘柄や業界の不振が投資全体に与える影響を緩和し、安定した収益を期待することができます。
単元未満株を利用した分散投資は、投資リスクを最小限に抑えながら、安定した資産形成を目指すための有効な方法です。
メリット④: 株主優待ももらえる可能性
株主優待は、企業が定めた株数に達していないと受け取ることができません。言い換えると、その企業の株主となる株数までコツコツと株を買い続ければ、株主優待を受け取る権利が得られます。
例えば、「100株保有している株主に、1,000円相当のクオカードをプレゼント」という企業の株主優待があるとします。この場合、株主優待の権利を得るためには、最低でも100株の株を保有している必要があります。ですので、その企業の権利付き最終日までに100株に達するように保有しておけば、株主優待を受け取ることができます。
例えば、毎月10株ずつ株を買い続けることで、1年以内に100株に到達することができます。このように、少しずつ購入していくことで、株主優待を受け取る権利を手に入れることができます。
単元未満株のデメリット
ミニ株(単元未満株)には以下のようなデメリットがありますので、注意が必要です。
デメリット➀ 証券会社によってサービスの内容が異なる
ミニ株は各証券会社が独自のサービスとして提供しており、その名称や取り扱い銘柄、手数料などが異なります。利用する証券会社を選ぶ際には、各社のサービス内容を比較検討する必要があります。
デメリット➁ 対象銘柄は限られる
ミニ株は通常の株式取引と比べて取引できる銘柄が限られています。人気のある銘柄は取り扱っている可能性が高いですが、マイナーな銘柄や新興企業の株はミニ株として取り扱われていないことがあります。
デメリット➂ 売買できる時間が決まっている
ミニ株の取引時間は通常の株式取引と異なり、前場や後場の始値で約定する場合が多いです。リアルタイムでの取引が難しいため、約定価格が思った通りにならないことがあります。
デメリット➃ 手数料が割高になる
ミニ株の取引には手数料がかかることがあり、単位株(100株)単位での取引よりも手数料が割高になる場合があります。特に1株単位での取引を行う場合は手数料の割合が高くなるので、注意が必要です。
デメリット➄ 大きなリターンを狙えない
ミニ株は投資金額が少ないため、大きなリターンを期待することが難しい場合があります。リスクが小さい分、リターンもそれに比例して小さくなることがありますので、投資目標に合わせてリスクとリターンをバランス良く考える必要があります。
新NISAで単元未満株の運用
新NISAは、手数料無料化などのメリットが多岐にわたりますが、その中でも単元未満株、通称「ミニ株」もその一つです。
ミニ株は、1株単位での取引が可能な株取引手法です。通常の株取引では、100株単位での売買が主流ですが、これでは投資金額が大きくなりがちです。そのため、小額からの投資を可能にするためにミニ株が生まれました。
かつてはミニ株にはいくつかのデメリットもありました。例えば、手数料が割高だったり、リアルタイムでの売買ができなかったりといった点です。しかし、最近では証券会社がミニ株に対する手数料を無料化するなど、新NISAへの対応を進めています。
新NISAを利用することで、約20%に及ぶ税率を抑えながらミニ株を購入することができます。特に投資初心者にとっては、成長投資枠を活用してミニ株に取り組むことが良い選択肢となります。
少額でチャレンジできる
初心者が投資を始める際には、失敗を恐れずに実践を積むことが大切です。投資信託を選ぶのが安全な方法ですが、中には新NISAの成長投資枠を使って個別株の売買に興味を持っている人もいます。しかし、初心者がいきなり個別株投資を始めるのは危険です。
現在、単元株(100株)で取引する場合、トヨタ株の最低取引価格は25万円、ファーストリテイリングに至っては330万円以上です。大金を貯めても、損失が出れば挽回できない可能性もあります。
個別株投資では、ファンダメンタルズ分析(企業の業績や市場の流れを考慮)とテクニカル分析(チャートの動きを分析)の2つの手法が重要です。決算書の読み方やチャートの読み方を勉強しながら、ミニ株投資で実践することで、投資の経験を積むことができます。
ミニ株投資では、失敗しても損失を数万円や数十万円に抑えることができます。資産を大幅に減少させてしまうリスクも少ないため、安心して経験を積むことができます。
オリジナルのポートフォリオを作ってみよう
リスク分散を考える場合、投資信託が一般的に選ばれます。しかし、日経平均連動型のインデックスファンドや特定のテーマに絞った商品など、さまざまな投資信託がありますが、大企業銘柄で構成されているため、違いが少ないことがあります。
一方で、ミニ株を活用すれば自分だけのポートフォリオを組むことができます。1銘柄2〜3株程度を購入することで、20万円でも多くの銘柄からなる”疑似”投資信託を作ることができます。
さらに、不動産業界や化学業界、自動車業界や飲食業界など、異なる業界を組み合わせることも可能です。自分が興味を持っている業界に投資信託が見つからない場合は、ミニ株を利用することで自分の興味に合ったポートフォリオを作ることができます。
ドル・コスト平均法が活かされる
ドルコスト平均法は、一定額で同じ商品を定期的に購入する投資手法です。長期的な視点から見れば、非常に効果的な方法です。
この手法では、対象となる銘柄の株価が変動しても、定期的な購入額を変えずに買い続けることが重要です。たとえば、ミニ株を使って以下のような値動きの株を、同じ2万円で一括購入した場合と、毎月5000円ずつドルコスト平均法で購入した場合を比較しましょう。
4カ月目まで見ると、一括購入の場合の資産は変わらず2万円ですが、ドルコスト平均法の場合の資産は2万1650円となります。
短期的には、一括購入の方が有利な場合もありますが、長期的に見れば、値動きが避けられないため、ドルコスト平均法の方が有利になる可能性が高いです。
通常の単元株売買でもドルコスト平均法は可能ですが、数千万円単位のお金が必要です。その点、ミニ株でのドルコスト平均法は初心者向けの理にかなった戦略と言えます。
単元未満株は単元株に成長させられる
単元株に育てるためには、ミニ株で少しずつ買い続けることが大切です。どんなに株価の高い銘柄でも、長期的にミニ株で買い進めれば、いつか100株の単元株に到達できます。その時点で、通常の株取引のようにリアルタイムでの売買が可能になります。
新NISAで頻繁な売買は向かない
新NISAで株主優待株を取得するには、成長投資枠を利用する必要があります。新NISAには成長投資枠とつみたて投資枠の2つがありますが、株式を購入できるのは成長投資枠のみです。したがって、新NISAを利用して株主優待株を購入する場合は、成長投資枠を使うことになります。
成長投資枠は、主に株式取引に使用されますが、つみたて投資枠は長期の積立や分散投資に適しています。株主優待を楽しみながら毎月の投信積立も行いたい場合は、成長投資枠の年間投資額を株主優待株に充てるように工夫することが重要です。つみたて投資枠を利用して、定期的に投資信託に積立購入することで、リスクを分散しつつ長期的な資産形成を図ることができます。
また、新NISAで購入できる株式の金額は年間240万円が上限です。この枠を超えると、その年の新NISA枠の範囲内での株式取引はできなくなります。さらに、新NISAで購入した株式を売却しても、その売却分の年間投資枠の再利用はできません。したがって、NISA口座で売買を繰り返すと、年間投資枠を使い切ってしまう可能性があるため、注意が必要です。
新NISAの効率のいい使い方
NISAを活用した株主優待投資においては、次の3つのポイントを考慮することが重要です。
株主優待の他に配当ももらえる銘柄を選ぶ
NISA口座で株主優待銘柄を購入する場合、配当ももらえる銘柄を選ぶことでNISAのメリットを最大限に活かせます。NISA口座で購入した株式の配当は非課税で受け取れるため、税金を引かれることなく配当全額を手元に残すことができます。
長期保有できる銘柄を選ぶ
NISA口座の年間投資額は240万円が上限なので、売買を繰り返すとすぐに枠を使い切ってしまいます。長期的な保有を考え、財務面が安定している銘柄や、長期保有特典や増配傾向のある銘柄を選ぶことが重要です。
売却益を狙える銘柄を選ぶ
NISA口座で購入した株式の売却益も非課税になります。割安な銘柄や成長が見込まれる銘柄を選んで、将来的な値上がりを期待しながら株主優待や配当を受け取ることが重要です。非課税保有期間が無期限なので、将来の利益を非課税で受け取れる可能性も考慮して銘柄選びを行いましょう。
NISA口座を活用することで、株主優待投資をより効果的に行うことができます。成長投資枠で長期保有できる銘柄を選び、配当や売却益も含めたトータルのリターンを最大化させることを目指しましょう。
まとめ
単元未満株は1株から買えます
通常、株式市場では株を取引する際には、1単位が100株(単元株)とされています。しかし、単元未満株とはこの単位未満の株式を指し、1株から取引が可能です。
単元未満株のメリット
単元未満株の最大のメリットは、少額から投資ができることです。株式市場においては、大手企業の株価が高額であり、一株を買うだけでも多額の資金が必要ですが、単元未満株ならば少額から投資が可能です。これにより、初心者や少額資金の投資家でも市場に参加しやすくなります。
単元未満株のデメリット
単元未満株には取引コストの増加や細かい値動きによるストレス、株主優待の適用が制限されるなどのデメリットもあります。また、一般的に流動性が低く、売買が少ないため価格変動が激しくなることもあります。
NISA「成長投資枠」の活用
NISAの成長投資枠を活用することで、単元未満株を非課税で取引することが可能です。成長投資枠では、将来の成長が期待される銘柄に投資することが推奨されており、単元未満株もその一つです。NISAの活用により、長期的な資産形成を目指す際に有効です。
単元未満株からコツコツと
単元未満株は少額から投資ができるため、コツコツと積み立てることが可能です。少額から始めて、定期的に購入を続けることで、長期的な資産形成や資産の増加を目指すことができます。特にNISAを活用する場合は、非課税で資産を増やすことができるため、将来の資産形成に向けて積極的に取り組むことが重要です。
最後に
単元未満株は少額から投資を始めるための手段として有用です。一方で、取引コストの増加や株主優待の制限などのデメリットも考慮する必要があります。しかし、NISAの成長投資枠を活用することで、単元未満株を非課税で取引することが可能であり、将来の資産形成に向けて有効です。積み立て投資としてコツコツと購入を続けることで、将来的な資産の増加を目指すことができます。最終的には、自身の投資目標やリスク許容度に合わせて、賢く投資を行うことが重要です。