定額減税がスタート！知っておくべきポイントと手続き方法

2024年（令和6年）6月から、新たに導入される「定額減税」がスタートします。この減税措置は、物価高騰で苦しむ国民の経済的負担を軽減するため、今年度の税制改正で創設された1年限りの特別な制度です。具体的には、所得税が1人あたり年間3万円、住民税が1人あたり年間1万円減税されることで、多くの家庭に直接的な支援を提供します。

定額減税の適用は6月以降の給与や賞与の源泉徴収から開始されますが、対象者の要件や必要書類、年末調整での取り扱いが複雑であるため、慎重な対応が求められます。これから、定額減税の概要や源泉徴収事務における注意点について、わかりやすく解説していきます。

定額減税とは

定額減税とは、政府が一定の金額を減税する制度です。今回の定額減税では、所得税と住民税が以下のように減額されます。

この減税は、納税者本人だけでなく、扶養している子どもや年収103万円以下の親族も対象となります。

具体例：4人家族の場合

夫婦と子ども2人の4人家族の場合、共働きか片働きかに関わらず、世帯全体で次のように減税されます。

減税の時期や方法

減税の時期や方法は、以下の点で異なります。

所得税と住民税の違い：

• 所得税は、通常、年間の確定申告時に適用されます。
• 住民税は、翌年度の住民税額に反映されることが多いです。

職業による違い：

• 会社員の場合：給与からの天引き（源泉徴収）により減税が適用されます。
• 個人事業主の場合：確定申告時にまとめて減税が適用されます。

定額減税は、家計に対する直接的な経済支援策の一つであり、家族の人数や扶養親族の有無により減税額が変わります。また、減税の適用方法やタイミングは、所得税と住民税の違いや納税者の職業によって異なるため、それぞれの状況に応じた対応が必要です。

定額減税の詳細と注意点

2024年（令和6年）6月から、新たな「定額減税」が始まります。これは、物価高で苦しむ国民の経済的負担を軽減するために創設された、1年限りの制度です。この減税措置により、所得税と住民税がそれぞれ以下のように減額されます。

所得税は1人あたり年間3万円、住民税は1人あたり年間1万円ですが、減税の適用方法や対象者によって、手続きや具体的な処理方法が異なります。以下では、給与所得者、個人事業主、年金受給者の場合について詳しく解説します。

給与所得者の場合

会社員などの給与所得者は、毎月の給与やボーナスから源泉徴収で所得税が差し引かれています。この定額減税は、早ければ6月の給与やボーナスから適用されます。

適用例：

• 本人と扶養家族3人の場合：所得税の減税額が合計で12万円。
• 毎月の給与にかかる所得税：1万1750円
• 6月のボーナスにかかる所得税：9万3000円
• 6月分で減税される額：10万4750円
• 残りの1万5250円は7月と8月の給与から順次減税されます。

住民税の減税：

• 6月分の納税額が0円になります。
• 減税分を反映させた1年分の住民税額を、7月以降の11か月に分割して納税します。

個人事業主の場合

個人事業主は、来年の確定申告で定額減税が適用されますが、「予定納税」の制度がある場合、先に減税が反映されることがあります。

適用例：

• 本人分の3万円の減税が7月の1回目の予定納税で適用されます。
• 1回で減税しきれない場合は、11月の2回目の予定納税に繰り越されます。
• 扶養家族の分の減税を受けるには、税務署への申請が必要です。

住民税の減税：

• 6月分から扶養家族の分も含めて減税されます。

年金受給者の場合

公的年金を受け取っている人も、所得税がかかる場合は減税の対象となります。

適用例：

• 公的年金は偶数月に支給されるため、6月分で減税しきれない場合は8月以降に繰り越されます。
• 年金を受け取りながら給与所得もある人は、両方の所得に対して減税が適用され、確定申告などで精算されます。

高額所得者は除外

• 年収が2000万円、または所得が1805万円を超える人は、定額減税の対象外となります。

政府の狙いと課題

今回の減税措置の規模は、政府の見積もりで以下の通りです。

• 所得税：約2兆3000億円
• 住民税：約9200億円

政府は、春闘による賃上げが実際に給与に反映される時期に合わせて減税を行い、手取りの増加を実感してもらうことで、デフレ脱却を確実にしたいとしています。

しかし、一律の給付に比べて制度が複雑であり、減税が複数の月にわたって行われるため、手取りの増加を実感しにくいという指摘もあります。そのため、企業や個人は減税の適用方法や手続きをしっかり理解し、対応する必要があります。

定額減税が実施される背景

定額減税を含む令和6年度税制改正が実施される背景には、世界的な物価高騰があります。以下に、その詳細と日本における状況についてわかりやすく説明します。

世界的な物価高

2020年（令和2年）から続くコロナ禍は、世界経済に大きな影響を与えました。その後、経済活動の再開とともに、世界中で急激な物価上昇が起こっています。この物価高騰の原因は多岐にわたりますが、主な要因は以下の通りです。

• エネルギー価格の上昇：石油や天然ガスなどのエネルギー価格が高騰し、それが輸送費や製造コストの増加を引き起こしています。
• 供給チェーンの混乱：コロナ禍で供給チェーンが寸断され、多くの商品の供給が滞りました。その影響で商品価格が上昇しました。
• 需要の急増：経済活動が再開されると、抑制されていた需要が一気に高まり、供給が追いつかない状況が生じました。

日本における影響

日本はエネルギーや食料品を多く輸入に頼っています。そのため、世界的な物価上昇の影響を大きく受けています。特に生活必需品の価格上昇は家計に直撃しています。

消費者物価指数の上昇

総務省統計局が作成する「消費者物価指数（CPI）」は、生活に関わる物やサービスの支出変動を測定する指標です。以下のような結果が示されています。

2023年（令和5年）：

• 総合指数：前年比3.2%の上昇
• 生鮮食品とエネルギーを除いた場合：前年比4.0%の上昇

これにより、多くの家庭で生活費が増加し、家計の負担が大きくなっています。

定額減税の内容：

• 所得税と住民税を合わせて1人あたり年間4万円の減税
• 低所得層ほど実質的な減税効果が高くなる
• 給与所得者、公的年金受給者、事業所得者など幅広い納税者が対象

この減税措置は、家計の負担を軽減し、個人消費の拡大を図るためのものです。短期間で急激な物価上昇が発生したため、賃上げだけでは対応しきれない現状を補うために導入されました。

定額減税の背景には、世界的な物価高騰とそれに伴う日本国内の家計負担の増加があります。急激な物価上昇に対応するため、政府は一時的な支援策として定額減税を実施することで、家計の負担を軽減し、消費の拡大を期待しています。

定額減税しきれない分は給付で補填

今回の定額減税では、扶養家族を含め1人あたり4万円の減税が適用されます。しかし、納税額が低いために減税しきれないケースも想定されます。そこで、政府は減税しきれない分を給付で補うことにしました。

給付の概要

給付対象者

• 扶養家族が多い人：扶養家族が多く、年間の納税額から減税額すべてを差し引けない場合。
• 単身者で年収が低い人：年収が低く、年間の納税額が4万円に満たない場合。

給付額

給付は1万円単位で行われます。例えば、減税しきれない額が1万5000円の場合、給付額は2万円となります。

給付対象者の数

政府の推計では、所得税と住民税を納めている約6000万人のうち、減税額すべてを差し引けず給付が行われる対象者は約2300万人と見積もられています。

給付の手続き

政府は減税と並行して給付を行うことで、納税額の確定を待たずに対応します。

市区町村の役割：

各市区町村が過去の納税実績をもとに減税しきれない金額と給付額を推計します。
夏ごろから対象者に給付の申請書を送付します。

追加給付：

納税額確定時に、収入が大幅に減少したり、扶養家族が増えたりして給付額が足りなかった場合は、来年以降に追加の給付が行われます。

特別な支援

政府は、住民税非課税世帯や均等割のみ課税されている世帯に対して、以下の支援も行っています。

住民税非課税世帯：

去年から順次、10万円の給付を進めています。

子育て世帯：

18歳以下の子ども1人あたり追加で5万円の給付を行っています。

今回の定額減税とそれに伴う給付措置は、物価高で苦しむ国民の負担を軽減するための重要な対策です。減税しきれない分を給付で補う仕組みにより、多くの人が確実に経済的支援を受けられるように設計されています。各市区町村が迅速に対応し、夏ごろから給付の手続きが開始される予定です。特に、扶養家族が多い家庭や低所得の単身者にとって、この制度は大きな助けとなるでしょう。

定額減税のメリット

手取り額の増加

定額減税により、所得にかかわらず一律で税額が減るため、特に低所得層ほど実質的な減税効果が高くなります。所得が少ない人でも同じ額の減税を受けられるため、手取り額の増加が期待されます。

幅広い対象者

給与所得者、公的年金受給者、事業所得者など、さまざまな納税者が対象となります。これにより、多くの人々が恩恵を受けることができます。

消費の拡大期待

税負担が軽減されることで、物価高騰の影響で冷え込んでいた個人消費の拡大が期待されます。手取り額が増えることで、消費傾向が上向く可能性があります。

定額減税のデメリット

即効性の欠如（個人事業主の場合）

個人事業主などの場合、源泉徴収が行われないため、毎月の手取りが増えることはありません。減税の恩恵を受けるのは、来年の確定申告のタイミングとなります。そのため、即効性に欠けるというデメリットがあります。

減税額の限界

1人あたり年間4万円の減税が物価高に対して十分かどうかという懸念があります。物価高騰に対する実質的な支援としては不十分であると感じる人も多いかもしれません。

今回の定額減税は、多くの人々に広く恩恵をもたらし、手取り額の増加を通じて消費の拡大を期待するというメリットがあります。一方で、特に個人事業主にとっては即効性が欠けることや、減税額が物価高に対して十分でないというデメリットも存在します。この減税措置が、国民の生活支援や経済の活性化にどれだけ寄与するかが今後の注目点です。

まとめ

2024年6月から施行される「定額減税」は、物価高騰に苦しむ国民の生活を支援するための一時的な措置です。所得税と住民税が一律で減額されることで、幅広い層の経済的負担を軽減し、消費の拡大を促進することが期待されています。

この制度のメリットは、所得に関わらず一律に減税が行われる点と、幅広い納税者が恩恵を受ける点にあります。特に低所得層にとっては、手取り額の増加が家計の助けとなるでしょう。一方で、即効性に欠ける面や、減税額が物価高に対して十分であるかという課題も存在します。

政府の狙いは、賃上げと減税を合わせて実質的な手取りの増加を実現し、デフレ脱却を確実にすることです。しかし、制度の複雑さや手続きの煩雑さから、対象者は適用方法をよく確認し、正しく手続きを行うことが重要です。

この減税措置が実際に国民の生活支援となり、経済活動の活性化に寄与することを期待しつつ、持続可能な経済成長を目指すためのさらなる施策の検討も求められます。

平田　とかげ

マネ活を義務教育に！

はじめまして！私はこれまでに、投資しながら少しずつ資産を形成してきました。投資を始めた頃は全くの初心者でしたが、少額から始めて徐々に目指していきました。では、私が経験したリアルな投資のステップをシンプルに伝え、これから投資を始める方のお役に立つ情報を共有しています。ますので、ぜひ一緒に行っていきましょう！