初心者におすすめ!スワップ取引のメリットとデメリット
「スワップってどうゆう意味?」「初心者でもできる取引?」
こんな悩みにお答えします。
この記事では、スワップの基本的な説明や取引の種類、メリット・デメリット、運用のコツについて分かりやすく解説します。スワップ取引に興味がある方や、初めての方に役立つ情報をお届けしますので、ぜひお読みください。
スワップとは
スワップ(swap)は、本来「交換」という意味で、金融の世界でもこの概念に基づいた取引が行われます。金融でのスワップの主な使い方と本来の意味は以下の通りです。
金融でのスワップ取引は、2つの当事者がキャッシュフローを交換する金融取引のことです。キャッシュフローとは、一定期間に渡って受け取る現金の流れです。取引の条件(期間、金利、交換する内容)はあらかじめ合意され、取引期間中に定期的に交換が行われます。
スワップの種類と特徴
金利スワップ
金利スワップは、同一通貨間で異なる種類の金利を交換する取引です。この取引では元本の交換は行われず、将来のキャッシュフローの交換が主な目的です。具体的には、固定金利と変動金利を交換する場合がよくあります。
円金利同士の交換であれば円円スワップと呼ばれます。円円スワップには、次の2つの取引があります。
- 固定金利を支払って、変動金利を受け取る取引
- 固定金利を受け取って、変動金利を支払う取引
具体的な例として、企業が低金利の長期固定金利融資を受ける際に、スワップ取引を利用して低利固定金利を変動金利に変換することが挙げられます。これにより、将来の金利上昇リスクを軽減し、銀行に預金している間にサヤ抜きを図ることができます。
また、企業がコマーシャルペーパーなどで資金を調達する際に金利スワップを活用することもあります。金利スワップを行うことで、短期の変動金利を長期の固定金利に交換し、将来の金利上昇に備えることが可能です。
身近な金利スワップの例としては、銀行が提供する固定金利型の住宅ローンがあります。銀行は、短期の定期預金などで資金を調達し、この資金を元に固定金利型の住宅ローンを貸し出します。しかし、将来の金利上昇に備えて金利スワップを行うことで、金利上昇リスクをヘッジします。
金利スワップは、金融取引の中でも広く活用される重要なツールであり、様々なシナリオに対応するための有効な手段です。
通貨スワップ
通貨スワップは、異なる通貨間で異なる種類の金利の将来のキャッシュフローを交換する取引です。この取引では、金利スワップとは異なり、元本の交換も行われます。通貨スワップを利用することで、債務の交換によって為替リスクを回避し、また債券市場における発行者の資金調達力や信用力の格差を利用して、調達コストを低減させることが可能です。
通貨スワップは外国政府や国際機関が発行するサムライ債(円建て債券)に密接に関係しています。この場合、外国政府や国際機関は円建ての債券を発行し、その資金を米ドルや他の通貨に交換します。これは、他国の金利が比較的低く、日本やスイスなどの信用力の高い通貨を利用することで、安価に資金調達を行うためです。
通貨スワップは、資金調達だけでなく、外国債券投資をする際に円ベースでの運用利回りを確定する場合などにも利用されます。つまり、通貨スワップを活用することで、将来の為替リスクを軽減し、安定したキャッシュフローを確保することが可能となります。
例えば、企業や国際機関が外国で資金を調達し、その資金を日本円に交換する場合、通貨スワップを利用して将来の為替リスクをヘッジすることができます。このように、通貨スワップは世界の金融市場において重要な役割を果たしています。
クーポンスワップ
クーポンスワップは通貨スワップの一種で、異なる通貨の金利部分の交換のみを行う取引です。具体的には、元本の交換は行わず、通貨間での金利のみを交換します。
この取引は、通貨スワップの中でも特に「元本が円で、クーポンが外貨」のように、円ベースの元本と外貨ベースの金利部分を組み合わせることで、為替リスクをヘッジする目的で利用されます。例えば、リバースデュアル債と呼ばれる債券がその代表例です。
リバースデュアル債では、円での元本を持ちながら、外貨の金利を受け取ることができます。この場合、クーポンスワップが活用され、外貨の金利部分を円で受け取ることが可能となります。これにより、円の元本による資金調達を行いながら、外貨の金利の恩恵を受けることができます。
為替リスクを適切にヘッジしつつ、効果的に資金を調達するために、クーポンスワップは金融市場で広く利用されています。
金利スワップの具体例
スワップの例として、FXの金利スワップと住宅ローンでの金利スワップについて解説します。
FXの金利スワップ
FX取引では、異なる通貨間での金利の差を利用してスワップポイントを得ることができます。例えば、日本円の金利が1%で米ドルの金利が3%の場合、日本円を売って米ドルを購入することで、米ドルの金利である3%を受け取ることができます。しかし、日本円に戻したときの金利は1%なので、この3%の金利から日本円の1%を支払わなければなりません。この1%分をスワップポイントとして受け取ることになります。このように、金利の低い通貨を売って金利の高い通貨を買うことでスワップポイントを得ることができます。
住宅ローンでの金利スワップ
住宅ローンを変動金利で借りている場合、将来の金利上昇に備えるためには、固定金利に切り替えたいと考える人もいます。この場合、別の銀行と金利スワップを契約することで、変動金利を受け取り固定金利を支払う取引を行います。これにより、ローンの借り手は将来の金利上昇に備えて固定金利を確保することができます。つまり、ローンの支払い金額が固定されるため、金利上昇によるコスト増加を抑えることができるのです。
スワップ取引のリスク・デメリット
以下では、スワップ取引におけるスワップポイント(スワップ金利)のデメリットについて詳しく解説します。
マイナススワップ
通貨ペアや取引の条件によっては、スワップポイントを支払う必要があります。例えば、米ドルと円のペアで取引する場合、「買い」の場合はスワップポイントを得ることができますが、「売り」の場合はスワップポイントを支払うことになります。これにより、マイナススワップが発生するため、取引コストが増えることがデメリットとなります。
スワップポイントで得た利益の課税
スワップポイントで得た利益は課税対象です。国内FX取引では、スワップポイントで得た利益に対して20.315%の税率がかかります。利益に対して税金がかかるため、得たスワップポイントの一部を税金として支払う必要があります。これもデメリットの一つです。
高金利通貨の為替変動リスク
スワップポイント狙いのトレードにおいては、証拠金維持率を高く保つことが重要です。高金利通貨であるトルコリラや南アフリカランド、メキシコペソなどは、為替相場の値動きが激しい傾向があります。相場の急激な変動によりロスカットに引っかかるリスクが高まるため、慎重なリスク管理が求められます。
短期間での大きな利益の難しさ
スワップ狙いのトレードは、スワップポイントをコツコツと積み重ねる投資手法です。そのため、短期間での大きな利益を得ることは難しいと言えます。投資資金を大きくすることでスワップポイントの利益も増える可能性がありますが、その分リスクも高くなります。また、現在の金利情勢を踏まえると、スワップポイントで大きな利益を短期間で得るのは難しいかもしれません。
スワップ取引のメリット
スワップポイント狙いのトレードは、安定した収益を求める投資家にとって魅力的な手法です。キャピタルゲイン狙いのトレードと比較してリスクが低く、保有しているだけでほぼ毎日スワップポイントを受け取れるのが特徴です。以下で、スワップポイント狙いのトレードのメリットについて詳しく説明します。
金利差がプラスであればほぼ毎日利益を得られる
- スワップポイント狙いのトレードでは、長期間ポジションを保有することで、スワップポイントが蓄積されます。
- ロスカットに注意しなければなりませんが、長期運用のため比較的安定して利益を得ることが可能です。
通貨を交換するだけで金利がもらえる
- スワップポイントを得るためには、特定の通貨ペアを保有するだけで良く、頻繁な売買は必要ありません。
- ただし、ロスカット(強制決済)のリスクがあるため、証拠金維持率やチャートの確認は定期的に行う必要があります。
配当と比較して収益機会が多い
- 株式投資では配当は年に数回受け取れるだけですが、スワップポイントはほぼ毎日発生します。
- 毎日収益を得られる機会があるため、スワップポイントは配当と比較して収益機会が多いのがメリットです。
長期で運用するほど大きな利益に
- スワップポイントは長期間ポジションを保有することで徐々に増えていきます。
- 特に高金利通貨であるトルコリラや南アフリカランド、メキシコペソなどを長期で保有すると、高いスワップポイントを受け取ることができます。
- 長期で運用するほどスワップポイントが貯まるため、安定した収益を期待できます。
初心者へのアドバイス
スワップポイントで運用する際のコツについて、以下の3点を解説します。
投資する通貨ペアを分散させる
- 高金利通貨ペアに集中するのは一見魅力的ですが、リスクが高まる可能性があります。新興国通貨の高金利通貨ペアは、先進国通貨ペアに比べて値動きが激しく、予測が難しいことがあります。
- リスクを軽減するため、先進国通貨ペアと新興国通貨ペアをバランスよく分散して投資することをおすすめします。
- 通貨ペアの多様性を持たせることで、予期せぬ値動きによるリスクを抑えられます。
証拠金維持率を大きめに維持する
- スワップポイント狙いのトレードを行う際、証拠金維持率を大きめに保つことが重要です。
- 証拠金維持率を高めに維持すれば、ポジションの余裕ができ、急な値動きに耐えられるようになります。
- 低い証拠金維持率でトレードを行うと、ロスカット(強制決済)されるリスクが高まるため注意が必要です。
長期運用する
- スワップポイント狙いのトレードは、長期的な視点で行うと効果的です。
- 短期間で大きなスワップポイントを得るのは難しいため、長期的な保有を考えましょう。
- 長期で保有すれば、1回あたりのスワップポイントが小さくても、累積して大きな金額になります。
- 長期運用することで、スワップポイントの利点を最大限に生かすことができます。
まとめ
スワップの意味とは
スワップとは、「交換」や「入れ替え」を意味します。金融取引においては、異なる通貨や金利を一定期間交換することを指します。
スワップ取引の種類
- 通貨スワップ:異なる通貨を一定期間交換する取引。
- 金利スワップ:異なる金利の支払いを一定期間交換する取引。
スワップポイントの仕組み
スワップポイントは、外国為替取引においてポジションを保有することで得られる金利の差額です。一般的に、高金利通貨を保有することで得られます。ポジションを保有する期間に応じて、日々受け取ることができます。
スワップ取引のリスク・デメリット
- 為替リスク:通貨価格の変動によって損失を被る可能性があります。
- 金利リスク:金利の変動によって受け取るスワップポイントが変動します。
- ロールオーバーリスク:ポジションを翌日に持ち越す際に発生するリスクです。
スワップ取引のメリット
- 安定した収益:スワップポイントを受け取ることで、相対的に安定した収益を得られます。
- リスクヘッジ:金利や為替リスクから自己を保護することができます。
スワップ取引の運用のコツ
- リスク管理:為替リスクや金利リスクを適切に管理することが重要です。
- ポートフォリオの分散:複数の通貨ペアや商品に投資してリスクを分散させることが効果的です。
- 長期的な視点:スワップポイントを最大限に活用するために、長期的な運用を考えることが重要です。
最後に
スワップ取引は、通貨や金利の交換によって毎日の利益を得ることができる取引方法です。通貨スワップや金利スワップなどの種類があり、長期的な運用に適しています。スワップ取引のメリットとしては、毎日の収益や長期保有での利益が挙げられますが、為替や金利の変動によるリスクも存在します。そのため、リスク管理として通貨ペアの分散や証拠金維持率の確保、長期運用の心掛けが重要です。スワップ取引は、リスクとリターンをバランス良く考えた上で運用することが成功の鍵となります。