積立貧乏にならないために!新NISAとiDeCoの心理的ポイント
新たなNISA(少額投資非課税制度)の導入やクレカ積立の上限アップにより、多くの人々が投資に興味を持つようになりました。この制度は個人投資家にとって有利な条件を提供する一方で、流行や他人の動向に流されて無計画に投資を始めると、かえってデメリットを被る可能性があります。投資はあくまで自己責任のもとで行うものです。
成功するためには、自分のライフスタイルや経済状況に合った資産運用計画を立て、しっかりと知識を身につけることが重要です。これから投資を始める方も、すでに経験がある方も、自分に合ったお金の回し方を見つけることで、賢く資産を増やすことができるでしょう。
iDeCoと新NISAの注意点
iDeCo(個人型確定拠出年金)や新NISA(少額投資非課税制度)は、将来の老後に備えて資産を増やすために使える手段です。しかし、これらの制度には注意すべき点があります。理解したうえで、始めましょう。
iDeCoの注意点
60歳まで引き出せない: iDeCoは老後のための制度なので、60歳になるまでお金を引き出すことはできません。そのため、すぐに使う必要のあるお金をiDeCoに預けると不便です。
新NISAの注意点
売却のタイミング: 新NISAで購入した投資信託は、株式市場の動きによって価値が変わります。お金が必要になって投資信託を売ったとしても、その時が必ずしも高値で売れるとは限りません。
iDeCoと新NISAのメリット
iDeCo(個人型確定拠出年金)と新NISAのメリットも一緒に解説していきます。
iDeCo(個人型確定拠出年金)のメリット
- 税制優遇: iDeCoの最大のメリットは、拠出した金額が全額所得控除されることです。これによって、所得税や住民税の節税効果があります。
- 運用益の非課税: iDeCoで運用した資産の運用益は非課税です。つまり、運用によって得た利益に税金がかからないため、資産を効率的に増やすことができます。
- 受け取り時の優遇: iDeCoの資産を受け取る際には、受け取り方法(年金または一時金)に応じて、一定の非課税枠が設けられています。これにより、受け取り時の税金負担を軽減できます。
- 老後の資産形成: iDeCoは60歳まで引き出せないため、老後の資産形成に特化しています。老後資金をしっかりと蓄えることができます。
新NISAのメリット
- 運用益の非課税: 新NISAでは、投資信託や株式の運用による利益が一定の期間(通常5年間)非課税です。これによって、運用益を最大限に活用できます。
- 年間投資枠の拡大: 新NISAは以前のNISAと比べて年間投資枠が拡大されており、より多くの資金を非課税で運用できるようになりました。
- 使いやすさ: 新NISAは、使いやすさが向上し、初心者でも手軽に始められるようになっています。積立NISAや一般NISAなど、投資スタイルに合わせて選択できる点も魅力です。
- 投資の選択肢: 新NISAでは、投資信託や株式など、さまざまな投資商品の中から自分に合ったものを選ぶことができます。多様な投資先を選択できるため、リスク分散も可能です。
iDeCoと新NISAのどちらも、将来の資産形成に役立つ制度です。iDeCoは老後の資産形成に特化し、節税効果が高い一方、新NISAは運用益の非課税や投資選択肢の広さなどがメリットです。どちらも自分のライフスタイルや資産形成の目標に合わせて活用することで、将来のために資産を増やすことができます。
クレジットカード(クレカ)積立について
クレカ積立とは、クレジットカードを利用して投資信託などの金融商品に積立投資を行う方法です。この方法は若年層に人気があり、2大ネット証券の楽天証券やSBI証券でも取り入れられています。
クレカ積立のメリット
- ポイントが貯まる: クレジットカードを利用して積立を行うと、カードの利用額に応じてポイントが貯まります。これにより、積立と同時にポイントを獲得でき、日常の買い物や次回の積立に活用できます。
- 手軽に積立できる: クレジットカードで自動的に積立が行われるため、口座にお金を移したりする手間が省けます。忙しい人でも手軽に投資を始められます。
2大ネット証券の取り組み
- 楽天証券: 楽天証券は「楽天カード」や「楽天キャッシュ」などを使ってクレカ積立を行うことができます。楽天経済圏の中で、貯まった楽天ポイントを投資信託の購入に充てることも可能です。
- SBI証券: SBI証券では「三井住友カード」など複数のクレジットカードと提携してクレカ積立を提供しています。カードごとに異なるポイントを貯められるため、好きなカードを選ぶことができます。
クレカ積立の上限アップ
2024年3月8日の法改正により、クレカ積立の上限額が月10万円に引き上げられました。これにより、クレジットカードを利用した積立投資の選択肢が増え、積立投資を行いやすくなりました。しかし、「10万円まで積立できるようになった」と「10万円積立してもいい」では意味が異なります。
クレカ積立の上限額が10万円に引き上げられたことは、積立投資の選択肢が増えたことを意味します。しかし、10万円積立できるからといって、その金額を積み立てるのが自分にとって最善の選択とは限りません。自身の収入や支出をよく考慮し、リスクを理解した上で、無理のない積立額を設定しましょう。ポイントを稼ぐことにとらわれず、賢い資産運用を心掛けましょう。
周りとすぐ比較をする日本人の悪い癖
日本人には他人と自分を比較する傾向が強く、他人の成功や贅沢を見聞きすると自分も同じように得したいと考えることがよくあります。たとえば、「ポイントを使って高級宿に泊まった」や「ポイントで海外旅行に行った」という話を聞くと、自分も同じようにポイントを使って贅沢な経験をしたいと思うかもしれません。
ポイントで贅沢している人の現実
- 高額な消費: ポイントで贅沢な経験をしている人は、それ以上に多くのお金を消費しています。たくさんのポイントを貯めるためには、クレジットカードや特定のショップで多額の支出をする必要があります。
- 還元サービス: ポイントは、使った金額に対して還元されるサービスです。つまり、ポイントを大量に貯めるためには、それに相当する支出が必要です。
周りに惑わされない
- 無理な消費: 他人の贅沢な経験に影響されて、自分も同じようにしようとすると、無理な消費をしてしまう可能性があります。自分の経済状況に合わない支出は避けるべきです。
- 資産形成の妨げ: 無理な消費を続けると、貯蓄や資産形成の妨げになります。将来のための資金を確保することが難しくなるかもしれません。
他人の贅沢な経験を見聞きして自分も同じように得したいと考えるのは自然なことですが、そのために無理な消費をしてしまうと、長期的には自分の経済状況に悪影響を及ぼします。他人と比較せず、自分の生活や資産形成計画に合った消費と貯蓄を心掛けましょう。ポイントを有効に活用しつつ、無理のない範囲で楽しむことが大切です。
お金を使わせて得した気分になる
ポイント還元率の高いクレジットカードを持つと、一見、たくさんポイントが貯まってお得なように感じます。しかし、その裏には年会費がかかることを忘れてはいけません。
ポイント還元率の高いクレジットカードの特徴
- ポイント還元率の高いクレジットカードは、通常のカードよりも多くのポイントを貯めることができます。
- これらのクレジットカードには、ゴールドカードやプラチナカードのように、一般的なカードより高い年会費がかかることがあります。
年会費の元を取ろうとまたお金を使う心理
- 高い年会費を払っているため、その元を取るためにカードを頻繁に使おうとします。結果として、さらにお金を使ってしまうことになります。
- 年会費の元を取るためにカードを使い続けると、消費が増えてしまいます。ポイントを得るために無駄な支出をしている可能性があります。
ポイント還元率の高いクレジットカードを使うことで、たくさんのポイントを得られるかもしれません。しかし、そのためには年会費を支払う必要があります。そして、年会費の元を取ろうとする心理が働くことで、結果的に余分なお金を使ってしまうことがあります。
このような状況に陥らないためには、ポイント還元率と年会費のバランスをよく考え、無理のない範囲でカードを利用することが重要です。自分の支出状況を見極め、無駄な支出を避けるように心がけましょう。
預金は利息は安いが、すぐ引き出せるのはデカい
預金の金利は非常に低く、メリットが感じられないかもしれません。しかし、すぐに引き出せるという点は大きな利点であり、急な出費や緊急時に対応できる預金の存在は重要です。
クレカ積立に全額回すことの危険性
- クレカ積立の魅力: クレジットカードでの積立投資は、ポイントがつき、通常の預金よりも利息が高いため、魅力的に感じられます。
- リスクの存在: 全額をクレカ積立に回すと、予期せぬ出費に対応できなくなるリスクが高まります。投資は市場の変動によって価値が変わるため、全額を投資に回すのはリスクが伴います。
積み立てたものを取り崩すことへの心理的抵抗
- 取り崩しへの抵抗: 積み立てた資産を取り崩すことに抵抗を感じることがあります。将来の利益を損なうことや、積み立てた努力を無駄にしたくないという心理が背景にあります。
- 複利の恩恵: 積み立てを続けるほど、資産は複利効果で増えていきます。このため、取り崩しに抵抗を感じるのは自然な反応です。
預金は金利が低いですが、すぐに引き出せるという点で急な出費や緊急時に対応するのに適しています。クレカ積立の魅力に引かれ全額を投資に回すのは危険です。資産の取り崩しに抵抗を感じるのは自然なことですが、必要に応じて柔軟に対応するために、投資と預金のバランスを取ることが大切です。
貯金の仕方にも注意が必要
車検代や固定資産税などの大きな支払いに備えて貯金するのは、家計を計画的に管理するための一般的な方法です。しかし、注意しなければならないのは、これらの支払いに備えた貯金だけを行っている場合、支払いが完了した時点で貯金がゼロになることです。
支払ったら、ゼロになる貯金
- 貯金がゼロになる: 大きな支払いのために貯めたお金は、支払いが終わると一気にゼロになってしまいます。これでは次の支払いに備える余裕がなくなります。
- 不測の事態に対応できない: 大きな支払いに備える貯金だけでは、予期せぬ出費や緊急時の出費に対応するための資金が不足する可能性があります。
「使うための貯金」と「貯めるための貯金」に分ける
貯金を2つの目的に分けることが重要です。また、環境に合わせて定期的な見直しをしよう。
- 使うための貯金: 車検や固定資産税など、特定の支払いに備えるための貯金です。これを確保することで、大きな支払いに対応できます。
- 貯めるための貯金: 将来の不測の事態や緊急時の支出に備えるための貯金です。この貯金を別にしておくことで、安心して生活することができます。
- バランスを考える: 使うための貯金と貯めるための貯金のバランスを考えることで、支払いに備えながら将来の資産形成も進めることができます。
- 定期的な見直し: 貯金の状況を定期的に見直し、自分の家計や将来の計画に合わせて調整しましょう。
「使うための貯金」と「貯めるための貯金」を明確に区分けすることで、支払いに備えながら将来の資産形成を進めることが可能です。計画的な貯蓄を行い、安心して生活できるようにしましょう。
初心者が陥りがちな積立のための借金
初心者の中には、積立投資に関心を持ち始めると、「みんながやっているから」「クレジットカード積立でポイントが貯まるから」といった理由で生活費をギリギリにしてまで投資にお金を回すケースがあります。しかし、これは非常に危険な状況です。
生活費を確保することが最優先
- 急な出費への対応: 人生には予期せぬ出来事や急な出費がつきものです。生活費を確保していないと、突然の出費に対して貯金が足りなくなり、借金をせざるを得ない状況に陥ってしまいます。
- 借金のリスク: 借金は利息がかかるため、結果的に借金の返済に追われてしまう可能性があります。これでは将来の資産形成の目的が損なわれてしまいます。
余裕資金での投資が重要
- 余裕資金の利用: 投資は、余裕のある資金で行うことが基本です。生活に必要なお金を確保した上で、余った資金を投資に回すことで、将来のために上手にお金を増やすことができます。
- 計画的な投資: 投資計画を立てる際には、他人の行動に左右されず、自分の収入や支出、貯蓄状況をよく把握して計画的に投資を行うようにしましょう。
初心者の方は、周囲の人が投資をしているからといって、安易に生活費をギリギリにしてまで投資を始めないようにしましょう。余裕資金での投資を心がけることで、急な出費に対する備えができ、将来のために資産を効率的に増やすことができます。計画的な投資を心がけて、健全な資産形成を目指しましょう。
まとめ
クレカ積立の上限が上がってもMAXまで使う必要なし
クレカ積立の上限が上がっても、必ずしもその上限額をフルに活用する必要はありません。自分の生活や収入に見合った金額を選び、無理のない範囲で積立を行うことが大切です。
クレカのポイントに気を取られないようにしよう
クレカ積立を利用すると、カードのポイントが貯まるため魅力的に感じます。しかし、ポイントに気を取られすぎて積立金額を増やしすぎると、生活費が不足する可能性があります。あくまでポイントはおまけと考え、自分の予算に合った積立を心がけましょう。
預金と積立の両方を活用しよう
預金と積立はどちらも大切な資産形成の手段です。預金はすぐに引き出せる資金として生活費や緊急時の支出に備える一方、積立は長期的な資産形成や老後の資金準備に役立ちます。両方をバランスよく活用することが重要です。
預金には、「使うための貯金」と「貯めるための貯金」を用意しよう
預金には、すぐに使うための「使うための貯金」と、将来のために長期的に貯める「貯めるための貯金」を区別しておくと、資金管理がしやすくなります。生活費や急な出費に対応できる「使うための貯金」と、長期的な資産形成のための「貯めるための貯金」をしっかり区分して管理しましょう。
周りの生活と自分の生活基準は違うので、自分に合った積み立てをしよう
他の人がどれだけ積立をしているかは参考になりますが、自分の生活や収入に合った積立額を設定することが重要です。周りと比較して焦ったりプレッシャーを感じたりせず、自分の生活状況や将来の目標に基づいて無理のない範囲で積立を行いましょう。
最後に
「クレジットカード積立」や「NISA」などの新しい資産形成の手段が普及している昨今、多くの人々がこれらの制度を活用して資産を増やす方法に興味を持っています。しかし、これらの手段を最大限に活用しようとするあまり、生活費が不足したり、無理な積立額を設定してしまうことがあるようです。特に、クレジットカードのポイントや特典に引き寄せられ、必要以上の積立を行ってしまうケースも見受けられます。
本来、積立は将来のための資産形成に役立つものですが、生活費や緊急時の資金を確保するための預金が不足してしまうと、思わぬトラブルに直面する可能性もあります。また、周りの人々と比較して自分の積立額や投資額を増やしすぎると、生活費が圧迫され、最悪の場合は借金をしてしまうリスクもあります。
このような「積立貧乏」や「NISA貧乏」にならないためには、自分の収入や生活水準に合った積立額を設定し、預金と積立のバランスを見極めることが重要です。また、ポイントや特典に惑わされず、冷静な判断を持って資産形成に取り組むことが求められます。これらの悩みに対する対策を一緒に考えていきましょう。