40代で資産運用を始めるべき理由とは?気を付けるべき点とは?
40代は、多くの人が将来の老後を意識し始める時期です。この時期になると、老後の生活や資金面での準備が重要だと感じる人が増えています。老後生活を豊かに送りたい、または最低限の生活を維持したいという個々の希望や目標に合わせて、適切な貯金額や投資戦略を考えることが求められます。
老後の生活を考える際には、退職金や年金などの収入面だけでなく、生活費や医療費、余暇活動などの費用も十分に見積もる必要があります。さらに、教育費や住宅ローン返済など、他の財務目標も同時に考慮する必要があります。
計画的な貯金や投資を通じて、老後に安心して暮らすための資金を確保することが重要です。このような視点から、40代の人々は将来に向けて貯金や資産運用に意識を向けることが必要です。
老後に必要な貯金額の目安
老後の生活に向けて十分な貯金をするためには、まず最初に必要な生活費を把握することが重要です。その後、その金額をもとに老後生活を想定した貯金目標を設定することができます。
- 最低限の生活費:月額平均22万1,000円
- ゆとりのある生活費:月額平均36万1,000円
- 老後生活の想定期間を25年間(65歳から90歳まで)とする
最低限の老後生活の貯金額
月額生活費 × 12ヵ月 × 生活の想定期間
= 22万1,000円 × 12ヵ月 × 25年間
= 6,630万円
つまり、最低限の生活を維持するためには、老後生活資金として約6,630万円が必要です。
ゆとりのある老後生活の貯金額
月額生活費 × 12ヵ月 × 生活の想定期間
= 36万1,000円 × 12ヵ月 × 25年間
= 1億830万円
こちらはゆとりのある生活を維持するために必要な金額で、約1億830万円が老後生活資金として必要です。
以上の計算により、老後生活に向けた貯金目標が明確になりました。
次に、この目標金額から退職金や年金などの収入を差し引いた残りを貯金目標として設定しましょう。例えば、年金受給見込み額や退職金がある場合、その金額を老後の毎月の収入として考慮し、その分を貯金目標から差し引きます。
計算を行う際には、将来のインフレーションや投資収益なども考慮に入れることが重要です。また、ライフスタイルや医療費、余暇活動などの個々のニーズに合わせて適切な金額を見積もることも大切です。
年金や退職金を把握しよう
退職後に入ってくるお金として主に考えられるのは、退職金と公的年金です。以下ではそれぞれについて詳しく説明します。
退職金は、勤務先の退職金規程に基づいて支給されます。一般的に、勤続年数や平均給与に応じて支給される金額が異なります。
最近では、企業の多くが確定拠出年金制度を導入しており、これにより退職金が確定拠出年金として支給されるケースが増えています。確定拠出年金は、勤務中に個人が積み立てた資産が元本となります。
退職金の具体的な金額や支給方法は、勤務先の総務担当者に直接確認するか、退職金規程を確認することが必要です。
公的年金は、日本年金機構から支給される国民年金と厚生年金があります。国民年金は、すべての国民が加入し、厚生年金は企業や会社に勤務する人が加入します。
加入歴や収入に応じて公的年金の受給額が変わります。具体的な受給額は、ねんきんネットやねんきん定期便を通じて確認できます。
公的年金の受給開始時期や受給額は、個々の条件や政策の変化によって変わる可能性があるため、定期的に確認することが重要です。
ねんきんネットを利用すると、将来の年金額のシミュレーションを行うことができます。自身の状況に応じて、将来の年金受給額を予測し、老後の生活設計に役立てることができます。
退職後に入ってくるお金として、これらの退職金と公的年金を十分に把握し、老後の生活費の補填に活用することが重要です。
40代からの資産運用について
老後の生活のために40代から資産運用を考えることは決して遅くありません。60~65歳まで働くと考えれば20年くらいの時間があるので、むしろ資産運用するには十分な時間ともいえます。しかし、資産運用は現在の貯金額や収支をしっかり理解したうえで行わないとデメリットになってしまう可能性があります。その説明をこれからしていきます。
40代の3人に1人は貯金ゼロ
40代で貯蓄がゼロの人の割合は、単身の方で35.3%・二人以上の世帯でも13.5%もいるという回答があります。将来に向けた資金準備の重要性がますます浮き彫りになります。
健康で仕事が順調でも、将来に備えて貯蓄をすることは重要です。なぜなら、50代や60代になると、病気やケガ、転職や失業といった予期せぬ出費が増え、まとまった資金が必要になるからです。
さらに、老後の生活資金も考えなければなりません。公的年金だけでは生活が厳しいかもしれませんし、切り詰めた生活は楽しくありません。充実したセカンドライフを送るためにも、今から貯蓄を始めて資金を準備していくことが大切です。
貯金ゼロの方がやるべきこと
40代で貯蓄がゼロの人が始めるべきことを以下に解説します。
収入を確認する:
まずは自分の収入をしっかり把握しましょう。収入を把握することで、その範囲で貯蓄や支出の予算を立てることができます。収入を増やすためには、節税や副業、プチ起業など、できることから始めて手取り収入を増やしましょう。
支出を見直す:
次に、支出を見直しましょう。収入よりも支出が多いと貯蓄ができません。支出を収入の範囲内に収められるように予算を考えましょう。固定費から見直し、無駄な支出を削減しましょう。例えば、生命保険の保険料やサブスクリプション料金、携帯電話代などを見直すことで支出を減らすことができます。
貯蓄の習慣を作る:
貯蓄を始めることが大切です。まずは貯蓄用の口座を開設し、定期的に一定額を貯金する習慣を身につけましょう。収入があったらすぐに貯蓄用の口座にお金を移しておくことで、使いすぎることなく貯金をすることができます。先取り貯蓄の考え方で、確実に貯めていきましょう。
これらのステップを踏んで、貯蓄ゼロの状況から脱却し、将来に向けた資金準備を進めることができます。まずは収入と支出のバランスを整え、貯蓄の習慣を身につけることが大切です。
投資初心者は時間をかけて資産を増やそう
投資は「余裕資金」で行いましょう。つまり、投資に使うお金は、生活に支障をきたさない程度のお金です。なぜなら、投資は予期せぬリスクも含んでおり、資産が揺らぐことがあるからです。
リーマン・ショックのような大きな市場変動があると、資産が急激に減ることもあります。そのため、投資に使うお金は「いざというときに困らないお金」であるべきです。
例えば、教育資金や住宅資金などの必要不可欠なお金は、絶対に投資に使わない方が良いです。それらの資金は確保しておきましょう。
投資で増やすのは、老後の資金などの「余裕」があるお金です。これによって、生活を揺るがすことなく、資産を増やすことができます。
そのうえで、投資を行う際には、慎重な計画と戦略が必要です。
投資の基本的なルール
「長期・積立・分散」は、世界的にも資産運用の基本とされています。この方法は、世界経済の成長率を上回るリターンを目指すために、資産を分散して長期間かけてコツコツと投資することを意味します。これは、将来を見据えて資産を育てたいと考える方に適しています。
長期投資:
長期投資は、将来の利益を狙って資産を長期間保有することを目指す戦略です。短期的な値動きに左右されず、資産の成長とインカムゲインを重視します。
老後資金を準備するためには、株式や債券などの資産を長期間保有することで、将来的なリターンを期待します。
長期投資は積極的な取引や相場の動きに左右されず、堅実な資産形成を目指します。
積立投資:
積立投資は、定期的に一定額を投資に回す方法です。一度に大きな額を投資するのではなく、分散して投資を行います。
投資のタイミングを気にせずに、定期的に資産を増やしていくことができます。また、市場の高値や安値に関係なく、資産を積み立てることができます。
分散投資:
分散投資は、複数の投資対象に資産を分散させることで、リスクを分散する戦略です。1つの投資対象に依存しないようにします。
投資対象を異なるエリアや国、タイミング、投資の種類に分散させることで、リスクを最小限に抑えます。例えば、株式、債券、不動産、商品など、異なる資産クラスに投資することが考えられます。
これらの戦略を組み合わせることで、リスクを最小限に抑えつつ、長期的な資産形成を目指すことができます。投資はリスクが伴うものですが、計画的な取り組みと適切な分散投資によって、安定した資産形成が可能です。
40代からの投資 5選
40代の一般的な収入の方が始められる投資商品としては、以下のようなものがあります。
投資信託
- メリット: 多様な種類があり、リスクやリターンのバランスを選択できる。
- デメリット: 運用手数料がかかる場合があり、リスク分散が必要。
- おすすめの人: 色々な投資先を選びたい人。
新NISA
- メリット: コツコツ無理のない範囲で積み立て投資ができ、税制優遇が受けられる。
- デメリット: 投資できる金額に制限があり、確実に利益が出るわけではない。
- おすすめの人: 半自動的に積立投資したい人。
iDeCo
- メリット: 節税効果が高く、将来の老後資金を準備できる。
- デメリット: 60歳まで引き出せないため、資金のロックが必要。
- おすすめの人: 定年退職後の収入を確保したい人。
不動産投資
- メリット: 長期にわたり収入を得られる可能性があり、融資を受けて投資できる。
- デメリット: 立地リスクや災害リスクがあり、資産管理が必要。
- おすすめの人: 安定収入のあるサラリーマン。
株式投資
- メリット: 短期間で大きな収入を得られる可能性があり、インカムゲインも狙える。
- デメリット: 相場変動が大きく収入が安定しないため、リスク管理が必要。
- おすすめの人: 相場をチェックする時間を捻出できる人。
これらの投資商品は、自身のリスク許容度や投資目標に合わせて選択することが重要です。また、投資を始める前には十分な情報収集とリスク管理が必要です。
投資初心者が気を付けるべき点
40代で投資を始める際には、以下の4つのポイントを押さえることが重要です。
目標額と期間を設定する
- 目標額を設定し、投資期間を明確にすることで、毎月の積み立て金額を計画しやすくなります。
- 無理な投資を避けるために、目標を達成した時点で投資を一時中断することも考えましょう。
資産形成は余剰資金で行う
- 生活費以外の余剰資金で投資を行いましょう。生活費を投資に回すと、損失が発生した際に生活が困難になるリスクがあります。
- 必要であれば副収入を得て余剰資金を確保しましょう。
手数料も確認しておく
- 投資に伴う手数料やコストを把握し、コストを最小限に抑えることが重要です。
- 投資信託や口座からの出金手数料など、細かなコストも見逃さず確認しましょう。
投資にリスクはつきものだと心得る
- 投資にはリスクがつきものであり、リスクを完全に回避することはできません。
- 適切なリスク管理を行い、長期的な視野で投資を続けることが重要です。必ずしも利益が出るわけではないことを理解しましょう。
一括投資ではなく、少額から始める
- 投資信託を利用する際は、少額から始めることをおすすめします。価格変動に振り回されず、心理的な安定を保ちながら投資を行います。
- 大きなリスクを避けるため、少額から始めることでリスクを分散させます。
価格変動に振り回されない
- 資産運用には価格変動がつきものです。急激な価格変動に影響されず、冷静に投資を続けることが重要です。
- 感情に振り回されず、長期的な視野で投資を行いましょう。
まとめ
40代からの資産運用のメリット
- 40代から資産運用を始めることで、将来の老後資金を安定させることができます。
- 時間的な余裕があり、リスクを分散させることができるため、長期投資に適しています。
- 資産運用を通じて資産を増やし、将来のライフプランや生活の安定を図ることができます。
40代で貯金ゼロの方のやるべきこと
- 貯金がゼロの場合でも、まずは収入と支出のバランスを見直し、無理のない範囲で貯蓄を始めることが重要です。
- 収入を増やすための副業や資格取得などの努力をすることも考えましょう。
- 貯金を始める際には、短期的な目標から始めて徐々に長期的な目標に向けて貯蓄額を増やしていくことが大切です。
投資初心者は長期・積立・分散の投資を心掛ける
- 投資初心者はリスクを最小限に抑えるために、長期的な視野での投資を心掛けるべきです。
- 積立投資を通じて定期的に資産を積み立て、投資先やリスクを分散させることで安定した資産形成を目指します。
- 長期的な視点で資産を運用することで、一時的な市況の変動に左右されずに着実に資産を増やすことが可能です。
投資初心者の心得
- 投資はリスクが伴うことを理解し、感情に振り回されず冷静な判断が求められます。
- リスクを最小限に抑えるために、十分な情報収集やリサーチが必要です。
- 初心者は資産運用の専門家やアドバイザーに相談することで、失敗を最小限に抑えながら資産を形成することができます。
最後に
資産運用は、将来の安定した生活やライフプランを実現するために重要です。特に40代からの資産運用は、将来の老後資金を確保するために不可欠です。しかし、資産運用にはリスクも伴います。そのため、資産運用を始める際には目的を明確にし、長期的な視野で積極的に取り組むことが重要です。
投資初心者は、リスクを最小限に抑えるために長期・積立・分散の投資を心がけるべきです。また、情報収集やアドバイスを活用して、冷静な判断をすることが大切です。
資産運用には時間と努力が必要ですが、着実な積み立てと適切なリスク管理を行うことで、将来の安定した生活を築くことができます。