税金ってなんで払わないといけないの?その理由と節税対策
税金とは
税金は、国や地方自治体が国民や住民から徴収するお金のことです。税金には様々な種類があり、例えばお店で商品を購入する際に支払う消費税もその一つです。
国や地方自治体は、税金を通じて多くの公共サービスや施設を提供しています。学校や病院、警察署などの施設は、税金で維持されており、これらの施設がなければ社会全体が安心して暮らすことができません。税金は、豊かで安全な社会を維持するための必要不可欠な資金源なのです。
税金を納めることは、国民や住民の義務です。憲法でも「納税は国民の義務」と定められています。つまり、税金を支払うことは、社会の一員としての責任を果たすことでもあります。
税金を支払わない場合、厳しいペナルティが課されることがあります。また、税金を支払う義務を逃れるためにうそをついたり、税金を不正に減らしたりする行為は、脱税と呼ばれ、法律で厳しく罰せられます。脱税は犯罪行為であり、逮捕や罰金などの厳しい制裁が科されます。
税金を納めることは、社会における自己責任の一環であり、公共サービスの維持や社会の発展に貢献する重要な行為です。
税金の種類
税金は、国税か地方税で納める
税金は、国や地方自治体が市民や企業から徴収する重要な収入源です。税金には、国が主体となって徴収する「国税」と、地方公共団体が徴収する「地方税」があります。地方税はさらに「道府県税」と「市町村税」に分けられます。国税と地方税では、それぞれ異なる目的や仕組みがあります。
国税には、所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税、酒税、たばこ税、自動車重量税などが含まれます。これらの税金は、国の財政を支え、国全体の経済や社会の運営に必要な資金を調達するために利用されます。
一方、地方税は、地方自治体が徴収する税金であり、住民税、事業税、固定資産税、地方消費税、自動車税などが含まれます。これらの税金は、地域の公共サービスやインフラの維持、地方の福祉制度の運営に使用されます。
- 消費税(しょうひぜい):商品やサービスの購入時に課せられる税金で、国や地方自治体に収められます。税率は一般的に商品の価格に対して一定割合でかかります。日本では2019年10月から税率が10%に引き上げられました。
- 固定資産税(こていしさんぜい):不動産や機械設備などの所有者が毎年支払う税金です。不動産の場合は、その評価額に基づいて課税されます。地方自治体が税率を定め、固定資産の評価額に応じて税金が計算されます。
- 法人税(ほうじんぜい):法人(会社)が利益に対して支払う税金です。法人は会計年度ごとに収益を計算し、その利益に応じて税金を納めます。税率は利益額に応じて段階的に適用されます。
- 所得税(しょとくぜい):個人の所得に課される税金で、給与所得者や自営業者などが支払います。給与所得者の場合、給与から源泉徴収され、年末に確定申告を行い過不足が精算されます。自営業者やフリーランスは年次の確定申告を通じて納税します。
- 住民税(じゅうみんぜい):居住している市町村に支払う税金で、その自治体の予算に使われます。市町村民税と道府県民税の2つの税目からなり、所得や資産などに応じて課税されます。
- 相続税(そうぞくぜい):故人の財産を相続した人が支払う税金です。相続財産の価値に応じて課税され、一定額以下の場合は非課税となります。
- 酒税(しゅぜい):酒類に課される税金で、消費税とは別に課税されます。酒税率は酒の種類によって異なり、国や地方自治体の収入源の一部となります。
- 関税(かんぜい):国境を越える商品の輸入や輸出に課される税金です。輸入品や輸出品に対してかけられ、国の財政収入の一部となります。関税率は輸入品の種類や国によって異なり、輸入品の価格に一定の割合がかけられます。関税は国の外交政策や貿易促進の手段としても利用されます。
- 特別徴収税(とくべつちょうしゅうぜい):一般的な税金とは異なる形態で徴収される税金の一つです。例えば、宝くじの当選金や年末ジャンボ宝くじなどの賞金から源泉徴収される税金がこれに該当します。税金が当初から支払われるため、受取人が追加の手続きをする必要はありません。
- 自動車税(じどうしゃぜい):自動車の所有者が支払う税金で、自動車の所有台数や排気量などに基づいて課税されます。地方自治体によって徴収され、徴収された税金は道路の維持や交通インフラの整備に活用されます。一般的には毎年支払われますが、車両の登録や所有権の移転時にも支払いが発生します。
税金の納め方には、直接税と間接税に分けられる
直接税とは
納税者と税金を負担する人が同じであり、納税者が直接税金を支払います。
主な直接税には、所得税、復興特別所得税、県民税、事業税などがあります。
所得税は、個人や法人の収入に応じて課税され、所得の一部を納税する形式です。一般的に給与や事業所
得などの収入から源泉徴収されます。
事業税は、法人が利益を上げた場合に課税される税金で、利益に応じて税率が適用されます。
間接税とは
納税の義務がある人と税金を負担する人(担税者)が異なり、税金を負担する人が支払った税金は、その税金を預かった「納税の義務がある人」が、代わりに国や地方自治体へ納めます。
主な間接税には、消費税、たばこ税、地方消費税、道府県たばこ税などがあります。
消費税は、商品やサービスの購入時に課される税金であり、消費者が支払います。商品やサービスの価格に消費税が含まれており、購入時に自動的に徴収されます。
たばこ税は、たばこ製品の購入時に課される税金であり、たばこ製品の価格に含まれています。
これらの税金は、国や地方自治体が公共サービスの提供や社会の運営に必要な資金を調達するために徴収されます。税金の種類や税率は政府の政策や法律に基づいて定められ、社会全体の福祉や経済の安定を目指しています。
税金の使われ方
税金は社会全体のために使われます。公共のインフラ整備、教育、医療、福祉、警察や消防などの維持、国防など、様々な分野で活用され、国や地方自治体の機能を維持し、向上させるために必要な資金源となります。
- 学校の設備や運営費: 学校の運営や生徒の教育環境を支えるために、税金が使われています。具体的には、学校内の椅子や机、図書室の本、教科書、体育用具、理科室の実験道具などが挙げられます。また、学校の電気代や水道代も、税金から支払われています。
- 学校給食費: 学校で提供される給食費の一部は、税金によってまかなわれています。これにより、給食が安価で提供され、子供たちの健康な成長が支援されています。
- 市役所や公民館の建設や運営: 市役所や公民館は、地域コミュニティーの中心的存在であり、様々な行政サービスや地域活動の拠点です。これらの施設の建設や運営には、税金が使われています。
- ゴミ処理: 生活ゴミの回収や処理も、税金によって賄われています。清潔で健康的な環境を維持するために必要な活動です。
- 予防接種や健康診断: 公立の学校で提供される予防接種や健康診断も、税金によって支援されています。これにより、健康な子供たちの成長が促進されます。
- 高齢者への国民年金支給: 国民年金は、高齢者の生活を支えるために国から支払われるものであり、これも税金から資金が供給されています。
- 災害からの復旧活動: 自然災害によって被災した地域の復旧活動も、税金が使われます。被災地の再建や救援活動に資金が提供され、地域の復興が支援されます。
- 道路や公共交通機関の整備: 税金は道路の舗装や橋の建設、公共交通機関の運営費などにも使用されます。これにより、安全かつ効率的な移動手段が提供され、経済活動や人の移動が円滑に行われます。
- 消防や警察活動: 税金は消防や警察活動にも充てられます。消防署や警察署の維持費や装備の更新、防災訓練などに使われ、市民の安全を守るための活動が支援されます。
- 文化・芸術の支援: 文化・芸術の支援も税金から行われます。美術館や博物館の運営費や展示会の開催、公演の支援などが含まれます。これによって、文化的な活動や芸術の普及が促進されます。
- 福祉サービス: 高齢者や障害者の支援、児童福祉施設の運営費、生活保護などの福祉サービスも税金から支援されます。社会の弱者や支援が必要な人々が支えられ、社会全体の安定が図られます。
- 環境保護活動: 税金は環境保護活動にも貢献します。廃棄物処理や環境保全プロジェクト、再生可能エネルギーの開発などが含まれます。これによって、地球環境の保全や持続可能な開発が支援されます。
税金がないと
- 救助活動と復興: 税金がないと、災害時の救助や復興が迅速に行われません。被災地の復旧が難しくなり、安全な生活環境の回復が遅れます。
- 交通と公共施設: 道路や公共施設の整備や維持が滞り、交通渋滞や施設の老朽化が進んでしまいます。これにより、生活の便利さや快適さが損なわれます。
- 警察活動の制約: 警察の活動が制限されるため、犯罪の抑止力が弱まり、治安が悪化する可能性があります。
- 教育の低下: 学校の設備や教職員の給与に資金が充てられなくなり、教育の質が低下します。生徒の学ぶ機会が減り、将来の可能性が制限されます。
- ゴミ処理の問題: ゴミの収集や処理が有料化され、生活費が増加します。環境汚染や健康リスクが増大し、住みやすい環境が損なわれます。
- 医療費の増加: 医療費が高額化し、医療サービスへのアクセスが制限されます。病気やケガの治療が困難になり、健康被害が増加します。
税金を払わないとどうなるか
税金を納期限までに納めなかった場合、延滞金が追加されます。さらに、税金を滞納したまま放置すると、以下のような滞納処分が行われる可能性があります。
- 差押え: 給与、預貯金、不動産などの財産が差し押さえられます。これは滞納した税金と延滞金を回収するための手段です。
- 財産の公売: 差し押さえられた財産が、公売などの手段で換金されます。これによって滞納した税金と延滞金が回収されます。
県では、納税能力があるにもかかわらず納税されない方に対し、税負担の公平性を確保するため、滞納処分を強化しています。つまり、税金を滞納することは、法律によって定められた手続きによって強制的に回収されることを意味します。
所得によって変わる税金の計算方法
所得税は、個人の収入に応じて変動します。収入が多いほど支払う税金も多くなります。一方で、一律の税金には例えば消費税があり、商品やサービスの価格に一定の割合でかかります。所得に応じた税金と一律の税金が組み合わさり、国や地方自治体の予算を構築しています。
所得金額の計算
まず、個人が得た収入から必要経費を差し引いて所得金額を計算します。給与所得の場合、給与所得控除が適用されます。給与所得控除は、収入額に応じて異なります。具体的には、次のようになります:
- 162万5,000円以下の場合:55万円
- 162万5,000円超180万円以下の場合:収入金額×40% – 10万円
- 180万円超360万円以下の場合:収入金額×30% + 8万円
- 360万円超660万円以下の場合:収入金額×20% + 44万円
- 660万円超850万円以下の場合:収入金額×10% + 110万円
- 850万円超の場合:195万円
例えば、年収500万円の場合、給与所得控除額は144万円(500万円×20%+44万円)です。
課税所得金額の計算
次に、所得金額から各種所得控除を差し引いて課税所得金額を計算します。所得控除は、医療費控除、生命保険料控除、社会保険料控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除などがあります。
所得税額の計算
課税所得金額に対応する所得税率を掛けて所得税額を算出します。所得税率は課税所得金額によって変動し、年収が増えるほど高くなります。
所得税額の計算は、課税所得金額に対して適用される所得税率を用いて行います。所得税率は所得の額に応じて段階的に増加するため、年収が増えるほど税率も高くなります。以下は所得税の速算表です。
- 1,000円~194万9,000円:5%、控除額0円
- 195万円~329万9,000円:10%、控除額9万7,500円
- 330万円~694万9,000円:20%、控除額42万7,500円
- 695万円~899万9,000円:23%、控除額63万6,000円
- 900万円~1,799万9,000円:33%、控除額153万6,000円
- 1,800万円~3,999万9,000円:40%、控除額279万6,000円
- 4,000万円~:45%、控除額479万6,000円
例えば、課税所得金額が500万円の場合、所得税額は次のように計算されます:
500万円 × 20% – 42万7,500円 = 57万2,500円
したがって、課税所得金額が500万円の場合、所得税額は57万2,500円となります。
納める税額の計算
最後に、所得税額から税額控除を差し引いて実際に納める税額を計算します。代表的な税額控除には、住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)があります。
住宅ローン減税は、住宅購入や住宅ローンの返済を支援するための措置であり、納税者の税負担を軽減する効果があります。
なお、2037年(令和19年)までは、復興特別所得税も課されます。この税額は基準所得税額に2.1%の税率を掛けて計算されます。
以上が所得税の計算方法の詳細です。これに従って、個人は所得税を計算し、納めるべき税額を確定します。
節税対策 10個の方法
これらは、サラリーマンが節税するための代表的な方法ですね。では、それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
NISAは、日本の投資制度の一つであり、一定の範囲内での投資によって得られる利益や配当が非課税となる制度です。成長投資枠とつみたて投資枠の導入や年間投資額の上限の拡大、非課税保有期間の無期限化などの特徴があります。詳しくはこちら
iDeCoは、個人が将来の年金収入を増やすために自主的に拠出する退職金制度です。掛金は全額所得控除の対象となり、運用で得た利益も非課税です。将来の老後のための資金準備として利用されます。詳しくはこちら
ふるさと納税は、自分の好きな地方自治体に寄附をすることで寄附金控除が受けられる制度です。寄附金の一部が控除の対象となり、返礼品がもらえることが特徴です。節税というより税金の前払いで返礼品を安く絵に入れる方法になります。詳しくはこちら
医療費控除は、1年間で支払った医療費の金額に応じて所得控除が受けられる制度です。支払った医療費の一部が控除され、医療費の負担軽減に役立ちます。
セルフメディケーション税制は、医療費控除の特例として、自己負担の医薬品購入費用が一定額を超えた場合に所得控除が受けられる制度です。自己負担の医薬品購入費用が高額になった場合に節税効果があります。
配偶者控除は、配偶者がいる場合に所得控除が受けられる制度であり、扶養控除は扶養家族がいる場合に所得控除が受けられる制度です。家族の負担を軽減するための制度です。
生命保険料控除は、支払った生命保険料の一部が所得控除の対象となる制度であり、地震保険料控除は地震保険料の一部が所得控除の対象となる制度です。保険料の支払いを軽減することができます。
住宅ローン控除は、住宅を取得するための借入金利息や特別控除の対象となる制度です。住宅購入や住宅ローン返済の負担を軽減することができます。
特定支出控除は、特定の支出が一定額を超えた場合に所得控除が受けられる制度であり、通勤費や転居費などが対象となります。特定の支出に対する負担を軽減することができます。
不動産投資は、不動産を購入して賃貸収入や売却益を得ることで資産を形成する投資の一つです。減価償却や各種経費の控除などの税制上の優遇措置があり、節税効果が期待できます。
これらの節税対策を活用することで、税金を節約し、将来の資産形成や老後の生活に備えることができます。
まとめ
税金は、我々が日常生活で直面する重要なトピックの一つです。しかし、多くの人々が税金の複雑な仕組みや支払いの必要性について理解していない場合があります。その結果、節税のチャンスを見逃したり、税金の支払いに関する誤解が生じたりすることがあります。
- 税金の種類と仕組みの理解不足:所得税、消費税、地方税など、税金の種類が多岐にわたるため、それぞれの税金の特徴や仕組みを正しく理解していない人が多いです。
- 節税対策の必要性の認識不足:節税対策が複雑で難しいと思われがちであり、そのために節税対策を講じる必要性があることを理解していない人がいます。
- NISAやiDeCoなどの制度の理解不足:節税対策に有効な制度や手段があるにも関わらず、それらの制度や手段を正しく理解していない人が多いです。
- 個々の状況に合わせた節税対策の実践不足:個々の状況やニーズに合わせた最適な節税対策を実践していない場合があります。
NISAとiDeCoで上手に節税対策をしましょう
NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)は、節税対策に有効な制度の一つです。以下に、これらの制度を上手に活用して節税を実現する方法を紹介します:
NISAの活用
NISAを活用することで、株式や投資信託などの資産運用を行いながら、運用益が非課税になります。年間最大で360万円までの投資が可能です。
NISA口座を開設し、適切な投資先を選択することで、将来の資産形成に役立ちます。
iDeCoの活用
iDeCoは、個人が積立方式で年金を形成するための制度です。毎月一定額を拠出することで、将来の年金に備えることができます。
iDeCoに拠出した金額は所得控除の対象となるため、税金を節約することができます。また、運用益も非課税です。
最後に
節税対策は、個人や家族の財務計画において重要な要素です。NISAやiDeCoなどの制度を活用することで、効果的に税金を節約し、将来の資産形成に役立てることができます。しかし、制度の理解や計画の立て方は容易ではないかもしれません。それでも、情報収集や専門家の助言を活用しながら、自分に合った節税戦略を構築することが大切です。